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ここが知りたい特集=成果主義賃金って何だ<その2>

大企業のねらいは?

 それでも大企業が成果主義の導入にこだわるのは、なぜでしょうか。

 財界総本山の日本経団連(会長・奥田碩トヨタ自動車会長)は、二〇〇四春闘にむけた「経営労働政策委員会報告」でそのねらいを語っています。報告は、表向きは「自社の付加価値生産性に応じた総額人件費管理を徹底」し、「賃金水準の適正化と年功賃金からの脱却」をはかるとして、「能力・成果・貢献度などに応じた賃金制度」を徹底すべきだと強調します。「短期的な業績向上による成果配分は、賞与・一時金によって従業員に還元していくべきである」とものべています。

 しかし言いかえれば、徹底して総額人件費を抑えるということです。そのために“年功賃金をやめて成果主義賃金を導入しろ、業績が上がっても賃金は上げるな”という主張です。

 あいまいな評価で賃金を決める成果主義賃金制度は、人件費削減をねらう大企業にとってきわめて都合のいい制度だといえます。


“先進国”アメリカでは? 実は成果主義賃金は労働者の20%


 成果主義“先進国”といわれるアメリカでは、どうなっているのか。

 意外なことに、労働者の80%は年々賃金が上がる年功制で、成果主義賃金は20%のエリート社員にすぎないといわれています(竹村之宏多摩大教授『エコノミスト』〇三年十一月四日号)。

 別の学者の調査によると、アメリカのホワイトカラーの賃金は、係長クラス以下で基本給98%、成果給にあたる業績給はなんとたったの2%です。部長クラスでも基本給が76%、業績給は24%にすぎません。
 この基本給というものは、査定を含みますが減額することはまずなく、仕事経験の幅や深さをもとにした定期昇給です(小池和男東海学園大学教授「国際相場をこえた短期化」財務省財務総合政策研究所『フィナンシャル・レビュー』〇三年一月)。

 技能職を含む全社員を対象に定期昇給を廃止し、役割・成果による査定と評価で賃金をきめようとすることは国際的にも例がなく、日本企業の異常さが浮きあがります。


見直し迫られる企業も
「職場の連帯失う」「部下の育成軽視」
 成果主義賃金は、職場から矛盾が噴き出しています。“少ない人件費でより働かせて高い生産性を”という財界・大企業のもくろみ通りに、ことは進んでいません。

 「短期的な成果だけを追い本質的な生産性の向上を見失う」「職場の連帯感が失われる」「部下や後輩の育成が軽視される」「失敗を恐れて高い目標に挑戦しなくなる」「個人の努力やプロセスが評価されず不満がたまる」。これは、産業界の労資などでつくる社会経済生産性本部が、成果主義を導入した企業での問題点をあげたものです。

 同本部は「成果主義に一元化された人事制度は、日本では成立し難(い)」と、成果主義導入に否定的な見解を示しています(「日本型成果主義研究委員会報告」〇二年七月)。

 こうした矛盾は成果主義賃金を導入した企業に見直しを迫っています。東海ゴム工業は「士気の低下という新たな問題を引き起こしてしまった」(近藤和雄・取締役人事部長、朝日新聞「be」一月十七日付)ため、廃止した年齢給を四月から復活させることを決めました。


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