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NHK「慰安婦」番組 「台本」と比べると

政府責任問う場面削る

スタジオで発言する高橋哲哉さん(左)と米山リサさん=NHK番組
(しんぶん赤旗1月16日付)

安倍副長官(当時)らと会談直後

 安倍晋三官房副長官、中川昭一衆院議員らの介入で改ざんされたと問題になっているNHK番組「問われる戦時性暴力」(二〇〇一年一月三十日放送)は、放送前日の一月二十九日、安倍氏らと会ったNHKの松尾武放送総局長らが完成していた番組のさらなる改変を指示したといわれています。二十八日までに完成した番組の、最終的な「修正台本」を本紙は入手、番組がそこから、どう改ざんされたのかを検証しました。(肩書は当時)

被害者証言もカット

 司会の町永俊雄アナウンサーと高橋哲哉・東京大学助教授と米山リサ・カリフォルニア大学準教授の対談部分では、まず冒頭の、町永アナの番組のねらいを語った部分が大幅に直されました。修正台本では「先月、東京で開かれた『女性国際戦犯法廷』を手がかりに『人道に対する罪』について考えます」となっていましたが、放送では「女性国際戦犯法廷」にふれないコメントに撮り直しました。

 両氏のコメントのなかで集中的に削られたのは国際戦犯法廷にかかわる部分と日本の責任にかんする部分でした。

高橋氏の発言で削除された部分は―。

 (1)元「慰安婦」の人たちが日本政府に責任をとってほしいと訴え、市民がその声を国際法の専門家に届けた意味は大きい、と述べた部分(2)国連人権委員会などが「慰安婦」問題で日本政府が責任を取るべきだと求めているが日本政府は応えていない、とした発言(3)被害者救済の「国民基金」は国家補償ではなく、納得を得られないとの発言(4)二国間条約で戦争被害の請求権は解決したという立場は国際法上退けられている、とした部分。

米山さんの発言は全体の六割が削られました。

 (1)一人の証言者の背後には何千人の犠牲者がいること、苦しみを込めて語った体験を引き受けていくことが大切とした発言全部(2)日本政府の対応がなぜ元「慰安婦」に納得されていないかを述べた部分など。

 あまりにも削ったため、多くが意味不明の発言になっています。

さらにVTRで放送されるはずだったもので削除されたものは―。

 被害者たちの証言、専門家証言、加害兵士の証言。戦時下の性暴力が「人道の罪」に当たるとした判断、女性国際戦犯法廷が日本国家と昭和天皇の責任認定したこと、など。
 「女性国際戦犯法廷をつぶさに追い戦時性暴力を問うことの意味を考える」という企画意図は完全に葬り去られたのです。
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