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安全策 JRまかせ

政府「規制緩和」で次つぎ後退

(2005年5月12日(木)「しんぶん赤旗」)

:ATS検査 半年から2年

 百七人の犠牲者を出したJR西日本の福知山線脱線事故で、車両、過密ダイヤ、ATS(自動列車停止装置)など安全対策をJRまかせにしてきた政府の安全対策がいま問われています。一九八七年の民営化以降、安全対策をゆるめる「規制緩和」をすすめてきた政府。そのもとで、JR西日本では設備の検査周期や工程日数で大幅な後退が実施されていたことがわかりました。

:保線巡回 4日を2週間


 国労兵庫地区本部の調べによると、JR西日本は九八年から二〇〇一年だけでも、検修で全般・要部検査の工程日数を十二日から六日に削減、電車の全般検査を七十二カ月から九十六カ月に、ATSの個別検査を半年から二年の周期にゆるめるなどしています。また、一級線(幹線)の保線の線路巡回も四日から二週間に延伸しました。(別表)
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 政府は民営化後、各種の規制緩和策を推進。九七年三月の閣議決定「規制緩和推進計画の再改定」で運輸関係の規制緩和をすすめました。そして鉄道事業法を「改正」(二〇〇〇年)し、新規参入や撤退、通行路線の休廃止などを免許・許可制から届け出制に(新しく始めるも途中で止めるも自由自在)。二〇〇一年十二月の「改正鉄道技術基準省令一五一号」によって、事業者の責任で技術基準が改定できる仕組みになりました。

事業者がテスト

 現在、鉄道事業各社は、国土交通省が二〇〇二年三月八日に出した省令(「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令」)を技術上の基準にしています。
 同省令は、仕様規定に合致しているかを検査する体系から、事業者の自主的判断をもとに車両検修や保線、電気などのテストを行い、同省に届け出るだけ――という体系に緩和しました。
 この結果、JR各社が現在導入している、重量、電気消耗費が従来に比べて半分で、十年の耐久性を基本に製造されている新保全体系(ハイテク)の車両の場合、大幅に検査周期、検査内容が緩和され、トラブルが発生すれば対応するというようになっています。

国の規制緩和が安全の後退をうながした

 国鉄労働組合中央執行委員の久保孝幸業務部長は「国の規制緩和策によって、各交通間の参入競争や価格競争が激しく進み、そのしわよせが安全・公共性の後退、事故の増加、生活路線の破壊、労働条件の悪化となってあらわれている」と語っています。
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