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侵略戦争賛美に絶句

韓国人元「慰安婦」が見た靖国神社

「どれだけ苦しんだか」
(2005年6月25日(土)「しんぶん赤旗」)
 初めて靖国神社を訪れた韓国人の李玉善(リ・オクソン)さん(78)が、旭日旗を掲げ軍歌を歌う一団を見て、凍り付いたように歩みを止めました。中国東北地方・延吉の日本軍駐屯地で「慰安婦」にされた李さん。「性奴隷」として扱われた戦争中の日々が鮮明によみがえったのでしょうか。(面川誠)
 李さんは十二日に都内で開かれた東京高校生フェスティバル(日本民主青年同盟東京都委員会主催)に招待され来日、自らの体験を語りました。

収まらない怒り

 一九二七年に朝鮮半島東南端の釜山で生まれました。「養女にしてやる」という飲食店主にだまされ、釜山から約六十キロ北方にある蔚山の居酒屋に売り飛ばされます。十五歳のとき、買い出しの途中で日本人と朝鮮人の二人組みによってトラックに押し込められ、そのまま貨物列車で延吉に送られたといいます。
 毎日、数十人の相手をさせられ、逃亡を図ったときは「殺される」と思うほど殴られました。日本の敗戦後も帰国できず、現地で朝鮮人と結婚。夫の死後、九九年にようやくふるさとに帰りました。

「靖国神社を見たい」

 朝鮮人「慰安婦」は最大で約二十万人と推計されています。韓国政府に申告した人は二百十五人。すでに八十七人が死去しました。
 「靖国神社を見たい」。講演を終えた李さんが言い出しました。「日本に行くと言ったら、ほかのおばあさんたちが『小泉(首相)と決着をつけて来い』だって」

「慰安所」にいたころに見た旗、聞いた歌

 第一鳥居(大鳥居)をくぐってしばらく進むと、軍服姿も混ざり旭日旗を掲げた一団が軍歌を歌い続けていました。
 「慰安所」にいたころに見た旗、聞いた歌。数分間、じっとその様子を凝視したあと、うめくように声を絞りだしました。「日本じゃ、あんなことをやっても構わないのかい」
 拝殿の前に立った李さんがつぶやきました。「小泉はこの中まで入って参拝するんだろう? 朝鮮人を殺しておいて、朝鮮人を戦争に引っ張り立てて死なせて…。こんな所に参拝するのか」
 神社を出ても怒りは収まりません。「朝鮮人がどれだけ苦しんだか…。私がその証人だよ」

若い世代に希望

 李さんは若い世代に希望を見ました。李さんの講演を聞き終わった高校生は「加害国の一人として戦争の事実を伝えていきたい」「戦争は人間を人間扱いしないことが分かった」と語りました。
 高校生が朝鮮民謡「アリラン」の合唱を披露すると、李さんは顔をほころばせ、自分もアリランを歌い始めました。
 「歌詞をちょっと変えるよ」。李さんは「透き通った空には小さな星がたくさん。私らの胸には憂いがいっぱい」という歌詞を「私らの胸には希望がいっぱい」と歌いました。
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