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主張

政府税調暴言

「生命力のない人たち…淘汰してもらわないと」
(2005年7月25日(月)「しんぶん赤旗」)
 政府税調の基礎問題小委員会の議論が国民の怒りを呼んでいます。
 配偶者控除の縮小・廃止にからんで、「働かないで家でごろごろしている主婦が子どもを産まない。パラサイト・ワイフ(寄生妻)というのができてきた。つまり、変な生命力のない人たちがたくさん生じていて、お金を持ってぶらぶらしている。そういう人は淘汰(とうた)してもらわないといけない」―。

政府税調の品性疑う

 「子どもをつくる、つくらないというのは手当や金の多寡じゃない。男に魅力がないからだ」「専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきた発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多い」
 議論というより感情むき出しのひぼう・中傷です。発言者だけでなくこうしたやりとりがまかり通る政府税調そのものの品性を疑います。
 政府税調は、六月に「個人所得課税に関する論点整理」をとりまとめ、サラリーマンを中心にした庶民大増税の方針を打ち出しました。年収五百万円の四人世帯で四十二万円もの増税計画に、国民から憤りの声が噴き上がりました。

評論家やマスコミ代表の勝手な暴論のなかで

 最終的に内容を決めたのは政府税調の総会ですが、実質的な議論は、評論家やマスメディアの代表、税制の専門家らが委員を務める基礎問題小委員会が担当しました。
 サラリーマンだけでなく業者や農家を含む千四百万世帯が受けている配偶者控除の縮小・廃止は、増税策の大きな柱です。その検討の中身が暴言につぐ暴言だったのです。こんな増税、ますます許せません。

どこが「公平・中立」なのか

働きたいのに働けないのが実態
 ほかの主要先進国と比べて日本は妊娠・出産で仕事を続けられなくなる女性の多さが際立っています。育児の時間が取れないなど仕事と子育ての両立が困難なことが主な理由です。男女雇用機会均等法で禁止されているにもかかわらず、妊娠・出産を理由に解雇されるケースも目立ちます。働きたいのに、やむなく専業主婦となる人が少なくありません。

子どもが小さいうちは一緒にいてあげたい思いも
他方で、家計は苦しくても、子どもが小さいうちは一緒にいてやりたいと考える人もいます。
 配偶者控除の縮小・廃止は、これらの女性とその世帯に広く負担増を迫る冷たいやり方です。子育ての苦労に対して、さらに罰則を科すような少子化促進策にほかなりません。
 政府税調の石弘光会長(一橋大学名誉教授)は、ことあるごとに「公平、中立、簡素」な税制が理想だと強調してきました。一方的に専業主婦とその世帯を悪玉に仕立てるのは、公平でも中立でもありません。

増税迫る資格はない

 もうひとつ、今回の所得課税見直しに際して石会長が力説していたことは、所得税の「財源調達機能」(=国民から税金を徴収する)と「所得再分配機能」(=徴収した税金を行政施策を通して国民に返す)の回復です。
 ところが、「論点整理」では「財源調達機能の回復」を明記する一方、「所得再分配機能の回復」は抜け落ちています。なぜでしょうか。
 石会長は、これを書き込むと「最高税率を60、70%にしろという話(この間、引き下げてきた大金持ちの税率を元に戻せという話)が必ず出てくる」「金融所得を分離課税で追い出し、金持ちの課税所得を低く抑えておいて再分配もないだろうという話になる」からだと説明しています。
 政府税調は行きすぎた大企業減税を温存しようとしています。さらに、至れり尽くせりの金持ち減税を是正する意思すらないことを会長自ら明言しています。
 もはや政府税調には税制の公平を語る資格も「公平」を盾に取って国民に増税を迫る資格もありません。
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