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ライブドア急成長のカラクリ
■Q&A
“錬金術”規制緩和で加速
インターネット関連会社のライブドアは、設立から十年で株式時価総額が七千億円を超える規模に成長しました。急速な拡大のカギは、株式分割や株式交換など金融テクニックを活用した企業合併・買収(M&A)攻勢でした。そのカラクリをQ&A形式で見てみました。(矢守一英)
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Q 資金の乏しい新興企業が、短期間にM&Aを繰り返すことができたのはどうしてなのか。
A ライブドアも十年前に設立された当時の会社の資本金は六百万円だった。二〇〇〇年四月、東京証券取引所「マザーズ」市場への株式上場を機に、一般投資家からの資金調達が可能になったことで、資本を増やしてきた。
そこでライブドアが多用したのが、株式交換や株式分割という手法だ。
買収対象企業の株主に、現金の代わりに自社株式を渡す株式交換で、子会社化することも可能になった。
Q 買収の代価は現金の方が確実ではないかと思うけれど。
A 買収する側の株価に上昇する期待が強ければ、受け取る側にとっても魅力は増す。ライブドアは、株式分割などで自社株価が急騰したタイミングで、株式交換によるM&Aを実施。投資家がその買収攻勢を収益拡大の機会と受け止め、さらに株価が上がるというサイクルが繰り返された。
Q 株式分割とはどういうこと。
A 本来は株数を増やし、一投資当たりの単価を下げて投資家が株を買いやすくするための行為なんだ。一株を五株に分割すると、理論上は株価は五分の一になる。
Q なぜ株価が上がったのか。
A 分割を決定しても、実際に新株が交付されるまで株券の印刷などで五十日程度かかる。それまでは、分割後の新たな発行済み株式総数に対して流通する株式が品薄状態になり、株価が上昇する効果があった。ライブドアはこうした株式分割を繰り返し、株式の時価総額(発行済み株式数に株価を掛けた数字)を膨らませていった。
Q ライブドアはどんな株式分割をしたの。
A ライブドアは一株を百株にするなど大幅分割を行った。それまでは分割を行うにしても、一・五から二程度が一般的だったという。ライブドアの行為がいかに突出していたか分かる。だから「本来の目的から逸脱した不正常なやり方」(証券業界関係者)と疑問の目が向けられてきた。
問題視した証券市場でも、今年から印刷前でも新株を売買できる新方式を導入。大幅な分割の事実上の規制も行われるようになった。
Q 株式の交換や分割は違法なの。
A それ自体は法律違反ではない。しかし、ライブドアでは自社で出資する投資事業組合(ファンド)がすでに相手企業を買収していたのに、その企業を株式交換で子会社化すると偽りの発表をした疑いが持たれている。ある証券市場関係者は「ライブドアはいつも不正ぎりぎりのところを進んできた」と指摘する。
Q 投資事業組合とは。
A 個人や企業が集まり、株式などに投資するための組織。登記は不要で、税制面でも投資目的の会社より有利とされる。ただ投資組合には情報開示義務がなく、多くの場合、出資者や運営実態が不透明といわれる。
ライブドアはこうした組織も悪用し、株式交換を繰り返し不正な利益を得ていた疑いも浮上している。
Q 今回のような事件を許した背景には何があるのか。
A 自民党政権が推進してきた規制緩和が背景にある。ライブドアが多用してきた株式交換による企業買収は、一九九九年の商法「改正」(自民、公明、民主、社民など賛成、共産党は反対)で導入されたもの。株価を高くする“錬金術”とされる株式分割は、二〇〇一年にそれまであった規制が撤廃されている。
「そうした規制緩和の流れのなかで、法の抜け穴にも目をつけ、のし上がってきたのがライブドアだった」(証券業界関係者)
(2006年1月20日(金)「しんぶん赤旗」)
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