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日本の学力低下はなぜ起こっているか
和田中「夜間塾」への一見解として
和田中問題になにかヒントになるのではないかと思い書きます。
日本の学力低下は主に国際的な学力調査である「学習到達度調査(PISA2006)」や「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)」の結果を受けて指摘されているものです。
世界最高水準の学習到達度を維持!
…それのどこが学力低下?
実はこの間の調査で日本の子どもたちは、依然として世界最高水準の学習に到達している子の集団が世界トップレベルを維持していることがわかっています。
じゃあ、なぜ日本の子どもは学力が低下しているといわれているのか?
実は基礎的な水準に到達していない子の集団が大量に増えており、それによって平均値が下げられたからなのです。
「ゆとり教育の弊害」という言葉の不確かさ
日本のマスコミや政治家は学力低下は「ゆとり教育の弊害」だと書き立て、和田中「夜間塾」のような施策を誉めそやす土壌を作りました。
しかしそもそもですが「ゆとり」とは名ばかりなんです。
授業内容の削減数に比べ、週休二日制などによって授業時数の削減幅の方が大きく、さらには一日の授業時数は増えましたから、むしろ詰め込みになったのが実際です。
さらには下手に授業内容を削ったために学習の流れがチグハグとなり、ますますついていけない子を生み出しました。
過度な競争教育に
国連から二度の勧告
日本は「国連・子どもの権利委員会」から二度にわたってその過度な競争教育を是正するよう勧告を受けています。
その内容は深刻なもので、
日本の子どもたちが
「競争が激しい教育制度のストレスにさらされ、かつその結果として余暇、運動および休息の時間が得られないために子どもたちの間で発達障害が生じている」
「子どもの身体的および精神的健康に悪影響が生じている」
というものです。
こうした過度な競争教育のもとで子どもたちが「学びからの逃避」(東大教育学教授 佐藤学)を始めていると指摘されています。これが「日本の学力低下」の正体なんです。
和田中の夜間塾は「教育改革」といえるか
「国連・子どもの権利委員会」はこうも指摘しています。
「過度のストレスおよび学校忌避を防止しかつそれと闘うために適切な措置をとるよう勧告する」
日本中に大量に出現する学校忌避の大問題。和田中の夜間塾はその激しい競争に無批判にのっかっただけで、上記の勧告が示す“過度のストレスおよび学校忌避と闘うための適切な措置”となっていません。
逆に学校忌避感を日本中の子どもに強めてはいまいか…真に求められている日本の教育改革とは真逆の方向と私は考えます。
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