日本共産党
杉並区議会議員
原田あきら
HOME
プロフィール
議員活動
すぎなみ探検隊
お知らせ
趣味のページ
リンク
議員活動
<< 戻る

減税自治体構想で田中区長とやり取り

 昨年の9月議会でのやり取りです。興味深い議論がされているので掲載します。
 今度の議会で「世代間の公平性」という問題を取り上げるのですが、その資料と思って議事録から掘り出したものです。決算特別委員会という一問一答の質疑を行う場面の議事録なのですが、全体として減税自治体構想に関わる区政の課題が見え隠れします。
 全部読むのに5分はかかるので、興味のある方だけご覧ください。
 
========================
 
○島田敏光 委員長  それでは、原田あきら委員、質問項目をお願いします。
◆原田あきら 委員  公債費にかかわって、減税自治体構想と 借金ゼロ政策についてお聞きします。
 借金ゼロ政策、減税自治体構想についてお聞きしたいと思います。
 当該年度、山田区政の11年の集大成かのようにして減税自治体構想が進められました。減税基金条例が成立した年度でもあります。
 この減税自治体構想ですが、区民から集めた税金で毎年150億円という規模で国債や地方債を買い、100年後にその利子で区民税をゼロにするという施策でした。今思えば、こんなでたらめな施策はないと思うわけなんですけれども、当時は大変な熱狂がこの議会を覆っていました。どの国にもない壮大な取り組みである、公明党、繁栄を生む大事業である、自由民主党杉並区議団、周知は進んでいる、区民のおおむねの理解を得ている、区政杉並クラブなどなど。もっと言いましょうか。民主党は、必要なサービスは確保されているから進めと、そういう熱狂がこの議会に渦巻いていたわけです。こうした中で、区役所の答弁も、これですべてがうまくいくんだというような発言が飛び交っていました。
 区長は、こういう状況にあって、減税自治体構想の事実上の凍結を宣言したわけです。改めて、その背景に何があったのか、区長のご意見を聞かせていただきたいと思います。
◎田中区長 昨日もご答弁を申し上げましたが、私は、2カ月ほど前、選挙で就任をしたわけでございますが、その経過の中でさまざまな意見を聞いてまいりました。また、私も政治家として20年にわたって活動をしていく中で、特に都政を通じて長く地方自治という問題と向き合ってまいりました。そういう中で、さまざまな方々からもいろいろな意見を聞いておりました。
 また、当選をしてから、杉並区の管理職の皆さんからレポートを提出いただいて、それも拝見をさせていただきましたが、そういったもろもろの皆さんのご意見を聞くにつけ、改めて議論が必要であろうというふうに思った次第でございます。
◆原田あきら 委員  つまり、区長も今答弁していただきましたけれども、例えば区幹部職員のレポートの中に、減税自治体構想について、これはなくしたほうがいいという意見が入っていたということで、今答弁にあったと思うんですが、レポートの中にも、実際、減税自治体構想についての批判が書き込まれていたということで確認してよろしいでしょうか。
◎区長 今おっしゃるような趣旨の意見はございました。
◆原田あきら 委員  区長がその意見を取り上げたということは、恐らくは、ただ1人が書いたとかそういうのではなくて、かなり複数の意見、しかも重要な意見が書き込まれていたんだと認識します。
 ところが、先ほども紹介しましたけれども、議会では大変な熱狂で、これを批判すれば、あんたは杉並区の将来を考えていないのかというような、非国民かというような、私なんかもそういう答弁を受けたりもしていたわけですけれども、実は区の職員の中でも、それこそ賛成した会派の中にも、もしかしたらこれはおかしいんじゃないかと思う人がいっぱいいたんだけれども、でも、あの山田区長のトップダウンといいますか、強権政治の前で口をつぐんでしまったというのが私実際だったと思うんです。この減税自治体構想の総括というのは、山田区政を総括する上でも、そして民主主義というものを考える上でも、非常に重要な教訓が幾つもあると私は思っているんですね。
 区長は、意見が二分しているとおっしゃったわけですけれども、それは区長として進められないとおっしゃったんですが、実は私たちの調査では、二分をしているどころか、つい最近も3,000ぐらいアンケートが返ってきたんですけれども、区民アンケートの中の大体半分に近い人たちが、実は減税自治体構想を知らないんです。こういう現状のまま、これほど重大な減税自治体構想、減税基金条例というものを進めてきた実態について、区長はどう思われますか。
◎政策経営部長 いろいろな当時のご議論の中で、それぞれ区民の皆さんのアンケートの周知のご意見、いろいろな方から寄せられました。原田委員のそういったような把握の仕方もあるでしょうし、そうじゃないいろいろなご意見もございました。
◆原田あきら 委員  区民周知の問題も、この減税自治体構想を通して大きく総括していかなきゃいけないんです。まさに高部長(註:政策経営部長のこと)は、当時、もうほとんど区民は賛成しているかのような発言をこの議会で行い、周知は十分だというようなことを言ってきました。ところが実態は、減税自治体構想では極めて一方的な括弧づきの区民周知が行われてきたわけです。
 例えばどういったものがあったのか。研究会つくりましたね。漫画5万部以上つくりました。ホームページをつくって、フォーラムを開いて、PRビデオをつくってケーブルテレビ放映なども行いました。大体幾らぐらいかかりましたか。
◎政策経営部副参事(伊藤) この周知、昨年度、21年度に関して申し上げれば、780万円ほどでございます。内訳は、今委員おっしゃったとおりで、まずフォーラムの開催に関しては140万ほど、それからPRのパンフレットのほうは、制作また委託等を行っていますので540万ほど、ビデオの制作また放映に関する経費として80万ほどを計上してございます。
◆原田あきら 委員  はっきり言って、漫画5万5,000部つくって500万で済むわけがないわけです。そこら辺も、はっきりと聞いても、議会の場でしっかりとした数字が出てこないようなありさまなわけですね。まさに狂喜としてこの減税自治体構想というのが進められてきてしまった。しかもこの内容は、さっきも言ったように一方的なんです。賛否両論を載せたと当時の課長などが言っていましたけれども、とんでもない。完全に減税自治体構想をやっていくんだという観点で漫画パンフレットなんかがつくられたわけですね。そうでしたよね。
◎政策経営部副参事(伊藤) 漫画のパンフレットに関しましては、もちろん、反対といいますか、疑問を呈している声を取り上げた中で、そういったご意見を申し上げている場面等も描写して、両論併記という形をとらせていただいたと思っています。
◆原田あきら 委員  両論併記とまだ言うのかなと驚くんですけれども、例えば、今漫画パンフレット、その膨大な資料の中に入っていると思うんです。その表紙をちょっと読んでみてください。
◎政策経営部副参事(伊藤) 表紙の裏面という意味ですか。
◆原田あきら 委員  表紙です。表題を。
◎政策経営部副参事(伊藤) 表紙ですか。「杉並太郎・花子の議―めざせ!減税自治体―」と書いてございます。
◆原田あきら 委員  両論併記、賛否両論載せたと言いますけれども、しっかりと「めざせ!減税自治体」と書いてあるわけでしょう。区でまだ議決も経ていないのに、区がこういうものをつくって区民に数万部という単位でばらまいてきた、これについてどういう総括がありますか。
○島田敏光 委員長  傍聴人より委員会の撮影の申請が提出されましたので、これを許可します。
◎政策経営部副参事(伊藤) パンフレット、確かにそのような表題がございますけれども、先ほど申し上げたとおり、区の姿勢として目指すというふうな考え方はお示しした上で、パンフレットの中には両論併記をさせていただいたということでございます。もちろん、意見がたくさんあって、反対、また賛成、疑問を呈する声があったことも重々承知してございます。そういった中で、確かに条例は議決をいただいたわけでございますけれども、先ほど区長が申し上げたとおり、さまざまなご意見が今現在もある、そういうところの中から改めて議論の必要があるということで、今回このような形をとらせていただいているということでございます。
◆原田あきら 委員  減税自治体構想がただ単になくなればそれでいいという話じゃないんです。この間の11年間にわたった山田区政のもとでつくられてしまった区政の風土、区民周知なんていうものは何となく形式的にやればいいんだ、区民の周知のあり方についても、賛否両論どころか、一方的に押しつけていくという区民周知ばかりやってきているんです。それは、このままほっとくと、同じことがずっとこれからいろいろなところで続けられてしまうんです。
 だから、減税自治体構想の問題で、いろいろな面で山田区長が11年間つくってきたトップダウンの区政の体質というものをしっかりと総括していかなきゃいけないんだということを私は訴えたいんです。その点で、減税自治体構想の、特にこのパンフレットというのは異常だったんです。5万5,000部にわたって「めざせ!減税自治体」と書かれたパンフレットが、今一体予算を幾らぐらい使ったのかも明確でない中でどんどんとばらまかれていく、そういう状況を私はしっかりと反省し総括しなければいけないと思うんですけれども、どう思いますか。
◎政策経営部長 昨日来お話ししていますように、これまでの区政の検証というのは、区長から申しておりますように、検証し見直すべきもの、継続していくもの、また新しく取り組んでいくもの、そういった視点に立って私どもも改めて考え、そしていろいろ今議論しているところでございます。
 しかし、減税自治体構想の推進ということでいえば、平成21年度の予算あるいは20年度の予算で、減税自治体構想の推進というのは、前区長のもとにその方針としてつくられ、予算がございましたので、それを推進していくというのは、また私ども行政としての責務でもございました。
 同時に、そのパンフレットについて申し上げれば、あの漫画が500万でできるのはおかしいじゃないかということでございますが、あれはそれで工夫してつくったものでございまして、それ以外のお金が出たとか、そういったこととは全く違うということは言わなければならないということでございます。
◆原田あきら 委員  膨大な職員がこの事業に当たったわけで、そういうこともしっかりと総括ができてないというのは、私はおかしいと思いますが、部長が今おっしゃった、推進をするのはその当時の役人としての責務だったんだと。私、そういうことだったんだろうなと思います。まさにそういう中で、職員がやっぱりこれはおかしいよと、レポートをとったら出てきているわけですから、おかしいと思っていても区長に進言できないような風土があった。まずそこを1つ改めたという点で、レポートを提出するなどしてここに1つメスを入れたという点で、田中区長の新区長としての仕事として、1つ大きな仕事をされたと私は思っているんです。
 ただ、まだまだ、山田区長の亡霊じゃないですけれども、この杉並区政には、山田区長がやってトップダウンで進めてきた問題がたくさん、子供園からして山積しているんです。こうした問題について、しっかりと区の職員自体が、これはおかしいんじゃないかということをちゃんと区長に言っていく、そして区長がそれを受けとめていくという姿勢が必要だと思いますが、区長、どう思いますか。
◎区長 区長が職員の意見に耳を傾ける、また、職員が自らの考え方を風通しよく区長に上げるという風土は私は大変必要なことだ、そうあっていきたいというふうに思っております。
 また、先ほどから減税自治体構想と前区長の政治手法についてのいろいろお話がございました。私は、そういうことも大変関心事ではあろうかと思いますが、減税自治体構想をもう一度見直していくという議論を通じて、自治の本来的な役割、あり方というのは一体どういうものなのかということをみんなが考えるということが大事だろうというふうに思っております。自治体が目指すのは、住民が本当に困っている、あるいは住民が必要だと考える、そういう行政サービスをきちんとやっていくということが私は大事なことだろうと。それをやっていくという中で、現実的な財政運営の課題をどういうふうに整合させていくか、乗り越えていくかということも当然出てまいりますし、時には無駄を削っていろいろなそういった施策を進めていきたいと思っても、削れるものがもうこれ以上ないということになった場合は、例えば、減税ではなくて逆に増税をしてでも、これは公的なサービスとしてやっていくという合意があれば、そういうことも自治体の意思の選択としてはあり得るわけであります。要は、どういったコミュニティというものを自分たちのその時代時代で必要としているのか、つくっていくのかということの議論が私は大事なことだろうというふうに思っております。
 したがいまして、例えば借金がゼロだとか、あるいは減税だとかいうことが自治体の目指す究極の目的というふうには私自身は認識をしておりませんし、そういう議論には私は疑問をかねてから感じておりました。そういうこともあり、今回もう一度構想をつくる議論の中で、杉並区がどういったコミュニティをつくっていこうとするのかということを、ぜひその議論を深めていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、子供園について言及がございましたので。
 これは、これまで、ここにご出席のさまざまな委員の方からあるいは会派から、慎重にというような声も聞いておりました。私も直接住民の皆さんの中からそういう趣旨の意見を聞いたこともございます。私なりに慎重に進めていくことも必要ではなかろうかという考えを持っておりましたのも事実でございます。しかしながら、いろいろと庁内で説明を聞き、議論をしていく過程で、今般ご提案をさせていただいておりますけれども、この件については、トップダウンということではなくて、現場の担当者からは、自信を持ってこれを前進させていきたいということを聞いております。いろいろ議論があろうかと思いますけれども、私は、これまでの取り組みを前提に、これを一歩進めたいというその言葉を信頼し、職員を信頼し、これは一歩進めるという私の決断をいたした次第でございまして、決して前任者のトップダウンとか、その名残だとかいうことではありませんので、ご理解をいただきたいというふうに思っております。
◆原田あきら 委員  今とても重要な答弁をされましたね。住民がどのように考え、困っているときに手を差し伸べるかというのが区役所の仕事だというような、総括すればそういう話だったんだと思います。まさにこういう政治が非常に必要になってくると思うんです。
 ところが、子供園の問題にしても、まだまだ区長の亡霊のようなものが区役所に渦巻いていて、いまだにそういうのを払拭できない風土があります。こういうのについても、ぜひ区職員からもしっかりと区長に、やっぱりこの問題はおかしいんだということは声を上げていただきたいなと思います。
 以上です。<質問日は2010.9.30>
(11.2.7)
<< 戻る

杉並区成田東4-5-14
TEL 3391-0977

Copyright(c)2004,AKIRA HARADA
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。