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11.9議会中継!ラスト

区民生活の厳しい実態を直視せよ

 決算議会の「議会中継」はこれでラスト。納税や保険料収納率の実態から区民生活の困窮の度合いに迫ります。
 ちょっと長くなりますがとても大事なことを書くつもりです。
 党区議団でこの間、継続的に集めている資料で課税標準の段階別納税者、税額の推移という資料があります。標準額は全部で9段階だったかに細かく分かれていて、それぞれの納税者数、税額数が刻まれています。
 端的に言えば、杉並区において、どのくらいの税を納めている人が何人いてその総額はいくらなのか、それが収入の規模別にわかってしまうというすごい資料なのです。

これまで納税者・納税額ともに上昇中でした。が…

 大不況と言われてきましたが、この資料を手元にある分を見る限りでは「平成18年度」から「21年度」までは納税者、税額ともに微妙ではありますが右肩上がりでした。杉並区民のたくましさを見る思いがします。
 が、しかし実態は異なるのでした…。この資料はいわば“見込み”であって本当に徴収できた額ではありません。この4年間、「税額」(税収の見込み)は右肩上がりでしたが、実は納税額(実際に徴収できた税)は右肩下がりだったのです。同じく、国民健康保険料も収納率は下がり続け、「22年度」決算に至ってはとうとう69.3%と7割を切ってしまう事態となりました。ちなみに同年度決算における収入未済額(その年度で徴収できなかった税、保険料等)はなんと110億円に達し、少なくともこの5年で最悪となりました。

いったいどの階層が身を持ち崩しているのか

 そこで気になるのはどういう階層の人達が身を持ち崩していて、税金を払えていないのか…です。その点で興味深い結果が同資料で明らかになっています。この資料は税額の階層別に分かれて年度の推移を見ることができますから、どの階層の納税者がどれだけ増えたか減ったかがわかるわけです。すると、「平成21年度」まで各階層で右肩上がりだった納税者数、税額が「平成22年度」では中所得者、高所得者含めて一気に減っているのです。一方で課税標準額300万円以下(家族形態にもよりますが年収500万円前後の人達)の層を境に納税者数、税額は増えています。これは高額所得者から中所得者へ、中所得者から低所得者への、収入の大移動が起きていることをさしています。よく言われる二極化どころか、全体が低所得方向にシフトしているのです。
 リーマンショックの一時的な下降線という人もいますが、税の所管の幹部職員に聞くと、ここ数年の収納率の下落をみてもこれはリーマンショックだけでは説明がつかないと言います。私には日本の構造に問題が生じていると聞こえました。

大金持ち優遇政策でどうなったのか

 杉並区民53万人のうち、区議会議員レベルの納税者はなんと1万人、それより上の税階層の人も1万、それより上のいったいどこまで行くかわからない大金持ちも1万人以上います。きわめて裕福な人の多い自治体と言えるわけです。
 小泉首相以来、とくにこの10年、大金持ち優遇政策で日本は元気になると突き進んできました。しかし、その分、低所得、中所得者層の負担は増えてきた訳です。そのことが逆に社会を狂わせると日本共産党は指摘してきましたが、杉並区の実態を見る限り、いよいよ高額所得者まで身を持ち崩す結果になっているのではないのか。そのことが伺い知れます。

それでも続いている大金持ち減税

 下がる収納率を向上させるために民間業者まで入れて納税の催促など行ってきましたが、収納率は下がる一方の結果。しかしながらいまでも大金持ち優遇政治にしがみついているのが日本の政治の実態です。この資料では分離課税、つまり株で儲けた人の実体も知ることができる訳ですが、それによると区内の分離課税を受けた納税者は3千数百人。その人達が27億円の区民税を払っていましたが、実はこの人達の株による収入はおよそ450億円弱…税率は区に入る分で6%です。本来なら12%、つまりに倍の税を納めなければならないのに半額減税されているのです。
 これをみて日本経済を活性化させる!ためと納得できますか?普通に27億円の杉並区の減収としか私にはうつりません。

中所得者層の崩壊の恐怖

 私は議会で中所得者の家計の崩壊は本当に深刻ということを指摘しました。我が家のように風呂なしアパートに家族5人住んでいたような家ならば、例えば生活保護になったとしてもあまり生活が変わりませんから傷は深くなりません。しかしですよ、マイホームを買って家族で暮らしていたところに、徐々に押し寄せる低所得者への下降圧力…ローンだけは守ろうと、住民税や国保料を滞納し、がんばるも力つきて家の売却、転居に子どもの転校…ドラマのような地獄ですが区の資料を見る限り、こうした世帯が実際に存在していることがわかるのです。まあ、私たちは実際に町で、そうした実態を目視する訳ですが、他の政治家や行政が、区の資料からこうした実態をうけとめることができるか。経済が厳しいから問いって自治体でも福祉削減の方向をうちだしてしまうのか、その一方で経済活性化だといって大型開発にうつつをぬかすということがないか…ギリギリでがんばっている中所得者、低所得者をギリギリで支えられるかが要です。区民生活の実態をつかむ、想像力が試されています。
(11.10.25)
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