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石原都知事が勝手に尖閣購入を表明…
政治家のこざかしいパフォーマンス
いやあ、驚きましたね。何を血迷ったかとも思いましたが、二つ思うところがあります。
誰の金ですか?
一つは都議会にもかけておらず、もちろん都民のコンセンサスも得ず、勝手に購入を宣言したことです。まるで俺の金だと言わんばかりに…。
石原都知事は数年前にもオリンピック招致で1億3000万円の海外視察をしていますが、ほんと自分の金と勘違いしているんじゃないですかね。
今回の購入については擁護する人もいるようですが、百歩譲って都民に良い買い物だったとしても、首長がここまで勝手に自治体による土地の購入を進めるのは民主主義としておかしいということを知らなければなりません。その点で「困ったもんだ」というより、危険だなあと感じました。
所有権を持つと何か変えられるの?
もう一つ驚いたのは、所有者を変えると何か自体を前に動かすことができるのか?という問いに何の説明もないことです。
その土地がどの国の領土かは、土地の所有者の国籍で変わるものではありません。だいたい、すでに尖閣諸島は日本人が所有してるんですよ(もちろん国内法においてですが)。それが東京都の所有に変わる、あるいは今回の動きに触発されて国が所有するとしても、どうなるというのでしょうか。領有権を主張する中国にとっては何の牽制にもならないのではないでしょうか。
すくなくとも、所有権が変わることでのメリットというものが具体的に説明されていませんでした。
日本の領有は明らか。国際的な議論の場をつくれ
1895年「無主の地」だった尖閣諸島に「先占」行為を行ったのは日本でした。その後、中国などからの領有権の主張は1970年までありませんでしたし、中国自身が自分の領土として認識をしていなかったことは各種文献でも明らかです。
ところが1969年に国連アジア極東経済委員会の報告書なるものが公刊され、そこに尖閣諸島周辺の海底に大量の石油、天然ガスが存在する可能性が指摘されると事態は一変。中国や台湾が相次いで領有権を主張し始めたのです。
こうした経緯をみても日本の領有は明らかで、国連憲章や国連海洋法に則って、国際的な議論の場を設けるのが一番の道です。
単なる挑発行為では?
ところが政府はあいも変わらず「領土問題は存在しない」と意味不明の態度に終始し、その点では石原氏も批判している訳ですが、石原氏がとった行動は所有権の購入という何のメリットがあるのかさっぱりわからない行動でした。なぜ、国際的な議論の場を設けないのか。中国が日本の戦争問題を取り上げてくるのが嫌なのか(それは別の話だときっぱり言うべき)、あるいは1970年代の日本の政治家と中国との関係があるのか私にはわかりませんが、あるべき道筋を歩まず、挑発行為としか見えないような行動をとるのは、政治家のこざかしいパフォーマンスにしか私には見えません。
(12.4.18)
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