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経常収支比率で興味深い議論
決算特別委員会が始まっています。その初日の議論がとても興味深かった。
この間私が何度か指摘している経常収支比率の問題。「万難を配しても」あと160億円貯めて550億円の「財政のダム」をつくる!って財政運営上の目標とともに、経常収支比率を80%にするという目標を区は立てました。これが今回、82.8%だった…というところに自民党や公明党、維新などが噛みついたのですね。この噛みつき方が三者三様で興味深かったのですね。
二人の議員がかみついた自民党
経常収支比率80%をと迫ったのは自民党の二人の議員。とくに若手の脇坂議員が“目標だったらきっちり守れ!”とやたら突っ込んでましたね。
人件費や施設維持管理費、公債費(借金返済費)など毎年常に必要とする費用を経常経費と呼びます。これが82→80%と落ちることはその分、常に必要としない予算=その年ごとに自由に使途を決めることができる予算が増えることになります。自民党はこれまでも田中区長に対し、この経常収支比率を低くしろ!(なかば、福祉や教育、区民サービスなど何か経常経費を削れということ)と迫ってきたのでした。
なんですかね、次に自分たちが区長とるときに「予算の柔軟枠」を残しておいといてほしいってことなのですかね?先行き不透明な経済状況に備えると盛んに言ってはいますが…。
公明党は疑問符をつける
興味深かったのは公明党の質問です。中村議員は経常収支比率についてこの数値は単に現状を表すだけで、目標数値とすべきなのか、少々遠回しでしたが疑問符を付けました。その後、私と同期の島田議員は、利率がただみたいに低いから区債をもっと積極的に発行していくべきだと迫りました(減税自治体構想の時あれだけ借金ゼロと叫んでいた人の言うことか…)が、公債費は当然経常経費に入りますので、これは経常収支比率の数字を高めてもいいという発言にほかなりません。中村質問との関連があるのでしょう。まあ、私も杉並の公債費比率は異常に少ないといって過言でないので、しかも保育や介護の需要は高まっているのでもっと積極的に区債を発行すべきと思っています。まあ、公明党が“バンバン借金しろ”と言いだすのは、新銀行東京のこともありますから何か怖い気もしますがね。
経常収支比率はどうあるべきか
維新の佐々木議員は相変わらず区長に噛みついて経常収支比率を低くするためにはとにかく経常経費を削れー!みたいな質問でした。まあ、しかしあまりよく覚えてないのでここまで。
日本共産党区議団はこの間も言ってきましたが、経常収支比率の80%目標にこだわるのはおかしいという立場です。当初、総務省がこの数値を盛んに持ち出していたそうですがいまではそれほどやかましくいっていません。なぜなら経常収支比率なんてのは都市部か地方部か、インフラが進んでいるかいないかなど様々なやむをえない状況でまったく違ってくるもので、その自治体の財政の中身を知ることはできても、それを守らなければ財政の危機に直面するという数字でもないからです。
例えば板橋区では
たとえばお隣の板橋区。人口は杉並とほぼ同じくらいの50万都市で、区税収入としては杉並区より150億円ほど低く、でも認可保育園が杉並より38園多い96園もあります。そして経常収支比率は90%を超えています。福祉のインフラ整備が進めば当然、経常収支比率はあがるのです。かといって、板橋が財政危機に陥っているのかといえばそんなことはない。“財政が硬直し始めているからなんとかした方がいい”というレベルです。
自治体の財政指標がいわゆる「健全」であるのと、区民サービスが立ち遅れて区民生活に支障が起きている状態と、どちらが本当に健全なのか…経常収支比率の議論から考える必要があります。
(13.10.2)
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