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「近隣住区の考え方」を変更した重大性
いま、杉並区のまちづくりの方向性が大きく変わろうとしています。
「近隣住区の考え方」とは
杉並区はこれまでその区域を7地域にわけ、それを基準に区民センターや図書館などを配置。さらに細かく46地区に分け、地区ごとに学校や児童館、ゆうゆう館などを設置してきました。これを「近隣住区の考え方」といい、施設配置の大事な指針とされてきました。まあ、いってみればまちづくりの大方針といっても過言でない「考え方」だったわけです。このおかげで杉並区は、どこに住んでいても、たとえ駅前でなくとも区立施設の恩恵を受ける利便性の高い街並みがつくられ、人間関係豊かな地域が形成されてきたのでした。
「駅周辺まちづくり」、「多心型まちづくり」へ
ところが田中良区長は、この近隣住区の考え方は古くなったといいます。その考え方は人口がどんどん増えていた時代の考え方であって、これからの人口減少社会にはあわないと言い切るのです。
その代わりに出したわけではないというかもしれませんが、同時期に出されたのが「駅周辺のまちづくり」や「多心型まちづくり」という言葉です。その前にはもっと露骨に「荻窪駅周辺まちづくり」と言い、いまでも杉並区基本構想の「最重点課題」となっています。つまり細かい地域毎ではなく、駅周辺、あるいは7つの地域の拠点ごとに巨大複合施設を作って、そこに区立施設を集約しようといい出しているわけです。
区立施設再編整備計画の正体
巨大複合施設をつくり、そこには各地域ごとにつくってあった区立施設を統廃合しておし込めてしまう…まあ、杉一小の10階建て複合施設化計画に顕著ですね。あそこは区民センターと産業商工会館と、当初は杉並会館まで押し込もうとしていたわけですから。
児童館のこどもセンター化は、三分の二の施設が削られるわけですが、残るのは14館。ちょうど7つの地域に2つずつですね。ゆうゆう館が他施設に転用させられ、区民事務所会議室は全廃。小中学校も20校が統廃合対象校となっています。これらの区民サービス削減は「近隣住区の考え方」の変更に根拠をもつのです。
住宅都市として本当に正しいのか…
これが進めば、“どこに住んでも便利”なまちではなくなります。学校など区立施設を中心に形成されてきた豊かな地域の人間関係も少なからずの影響をうけるでしょう(これやりきっちゃったら土地の値段にだって影響するんじゃないかと思うのですけどね…)。
本当に住宅都市杉並の価値を考えたとき、駅周辺多心型まちづくりは正しい方向性なのか?わが党区議団は間違っていると指摘してきました。田中区長は、区民の大筋の合意を得ている、区民との議論は十分行ってきたと強弁しますが、本当でしょうか?近隣住区の考え方の変更…これについて十分な区民の議論が行われた形跡はまったくないというのが私の印象です。この問題は区長選の大きな争点になりえるのかもしれません。
(2014.5.27)
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