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「保育緊急事態宣言」について原田あきらの見解
田中区長が保育園待機児で何か緊急対策を打ち出してくれるらしい!?やったー!!と、いいたいところですが…
今回の宣言を見てみると、2000人の定員増という規模は十分なもので歓迎するものである一方、この間の区長の姿勢と合わせていささか危ない計画が打ち出される危険性があること、なかには事実と異なる記述も含まれるなど不安が付きまといます。「緊急事態宣言」をめぐる杉並区の経過をおさらいしてみましょう。
「就任以来、急ピッチで認可保育所を整備しています」は事実ではない
宣言文のなかで上記のような表現が用いられていましたが実際は違います。区長は当初、口では認可保育園をつくるといっておきながら、実際の建設には後ろ向きでした。
田中区長就任の翌年となる2011年2月18日の保健福祉委員会、共産党杉並区議団が認可保育園の増設を求めたのにたいして区は「今後、民間認可保育所の増設なども含め、新たなプランの中で検討」とまだ認可保育所の増設は「検討」段階です。さらに次の年の2012年6月14日保健福祉委員会になっても同様の質問に対し区は「今年度中の整備としましては(中略)区の保育室1所、認可保育所の新設が1所、私立保育園の改築に伴う定員増などがございまして、確定している分だけで今現在150名の受け入れを考えてございます。」と…なんと就任から二年たっても新設計画1園のみ。こうした事実のどこをみたら「急ピッチで認可保育所を整備」などといえるのでしょうか。
私が「宣言の内容にウソが含まれているのではないか」と担当部長に質したところ、部長は「見解の相違」といってました(笑)…笑えません。
重大な失政
田中区長が「急ピッチで認可保育所を整備」したのは、忘れもしない、あの雪の降る中ママやパパが必至に認可保育所の増設を訴えた「保育園ふやし隊@杉並」という団体の抗議行動からです。それがマスコミに取り上げられて初めて危機感に襲われたわけです。ちなみに当時の部長は“以前から認可保育所整備は検討してきた”とこれまた驚くべき答弁を行っています(笑)…笑えません。
こんな就任一期目を過ごしてしまったため、杉並の待機児童対策はもともと酷いところからさらに酷い状況に追い込まれます。就学前人口にたいして、どれだけ認可保育園を整備しているか23区で比較すると、田中区長就任時である2010年は18位でしたが、なんとそれから4年後の2014年には21位と順位を下げてしまったのです(日本共産党東京都委員会政策部制作「2014年23区財政データ」)。山田区長のせいにはしていられない、重大な失政と言えます。
人のせいにしてばかりの政治姿勢に不安
さて、区内のママやパパ、マスコミに追い立てられ、まさに急ピッチで認可保育所整備に取り組んだ2014年度。ところがのど元過ぎれば熱さ忘れるとはこのことです…2015年度は実行計画で13園つくるはずだった認可保育所でしたが、蓋を開けてみたらなんと7園しか作ってなかったのです。私がこのことを指摘すると担当課長は13園つくる実行計画になっていたことさえ知りませんでした。待機児が増えるのは当然です。
そして今回の「保育緊急事態宣言」が発せられました。山田区長時代が悪かったとか、保育需要が高まっているためしょうがないとか、保育所建設に反対する住民がいるからしょうがないとか…人のせいにばかりしている田中区長の姿勢を、私は強い怒りをもって見ています。
ただし、宣言に示された計画規模は十分なものです。保育園ふやし隊@杉並をはじめとする多くの住民の声や、認可増設にこだわってきた共産党区議団の追及を受け止めたことは間違いありません。
尻拭いを区民にさせてはならない
田中区長は今回の緊急対策で学校や公園の一部、高齢者施設をつぶして保育園にするといっています。公園の一部活用は共産党区議団も緊急対応として提案してきました。しかし、学校や高齢者施設を削って認可保育園にするというのは区民サービスへの弊害が大きすぎます。田中区長は以前から、学校やゆうゆう館を潰して、保育園や特養ホームにする方針を示してきました。要は区民にたいし、“保育園がほしいなら何か別のサービスを削らせてもらいますよ”と迫っているわけです。
区長のこの間の失政の尻拭いを区民にさせてはなりません。現在460億円までたまった基金や、年に100億円近い、区長が自由に使える予算枠の一部を、しっかりと保育行政に充てるべきです。いまのところ、宣言に基づく具体的な計画はまったく示すことができていない状況です。区民サービスを不当に削ることなく、認可保育園の整備を進めるよう求めるものです。
(2016.4.20)
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