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保育園待機児童緊急対策補正予算にたいする
総務財政委員会での意見開陳全文
非常に反響が大きい保育園待機児緊急対策補正予算。党区議団は二つの問題を指摘し、反対しました。
そのことにたいしても「日本共産党は認可保育園をつくれと訴えてきたのになぜ?」と反響があるので、今回の補正予算のどこに賛成し、どこに反対したのか、総務財政委員会での党区議団の意見開陳を全文載せます。
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5月17日臨時議会 総務財政委員会(委員は金子けんたろう区議)における議案第41号平成28年度杉並区一般会計補正予算(第二号)にたいする意見開陳
議案第41号平成28年度杉並区一般会計補正予算(第二号)について、日本共産党杉並区議団を代表して意見を述べます。
まず、さきほど継続動議が他の委員から出されたことについてわが党区議団の姿勢を示しておきたいと思います。こうした重大な内容をもった補正予算が出されたことに対し、より慎重な審議を求める委員の動議の趣旨は理解し、賛同しました。動議が否決された今、わが党区議団としてはこの補正予算には極めて重大な問題が含まれていると考えており、その部分の削除修正を求める立場から、以下、本議案に反対の意見を述べます。
さて、本議案について意見を開陳する上で、なぜこの杉並で保育緊急事態宣言のような事態となったのか、あらためて指摘をしなければなりません。区長は緊急事態宣言の中で、「急ピッチで認可保育所を整備」してきたのに待機児童が増えてしまったと書いています。しかしこれは事実と異なります。田中区長の就任直後から日本共産党杉並区議団は再三にわたり、認可保育所の緊急増設を求めてきましたが、その際、具体的に住所も示して国有地等の活用も求めてきました。しかし区は、民間事業者に土地も施設も持ち込みで保育園をつくらせるという民間任せの手法にこだわり、区が自ら用地を確保するような積極的姿勢を見せてきませんでした。当時示した多くの国有地が売却されて今はありません。今回、その失われた国有地に隣接する区有地が定期利用保育に活用されることになったのはとても皮肉な話です。
こうした区政にたいして待機児童の保護者団体が2013年、庁舎前抗議行動を行いましたが、それがマスコミに取り上げられ、重い腰を上げ、やっと十数園増設という大規模な整備が実現したのが2014年度です。ところが驚くべきことに田中区長は、次の年に実行計画にあげられていた13園増設を執行せず、2015年度に7園しか増設しなかったのです。区は『ここまで吊り上げる必要もないだろうという判断』をしたことを認めており、この判断が現在直面している保育待機児童の深刻化に直結しています。この間の質疑では、単に読みが甘かったかのような言い訳をしていますが、自らがつくり、公表された実行計画を執行せずに今回の事態を招いたというのは、単なるミスと言えるものでしょうか。重大な失政であり、あらためて区の責任を明らかにするとともに猛省を求めるものです。
そうした指摘を冒頭行ったうえで、区の保育園待機児童緊急対策補正予算について意見を述べます。本議案は、平成29年4月に向け待機児童解消を図るため策定された『待機児童解消緊急対策』に基づき、認可保育所等を11か所整備するための経費を計上したものです。党区議団は待機児童解消のためにかねてから緊急対策を求めてきましたので、区が緊急補正予算案を組むこと自体は重要と考えます。しかしながら、わが党区議団としてはこの緊急対策には重大な問題があるという認識であり、大きく二つの問題点を指摘するものです。
一つは、区民のニーズを天秤にかけ、区民同士の争いを作り出しかねない問題です。
資材置き場の活用などいくつか納得のいく計画もありますが、利用度の高い公園をつぶし、高齢者の利用施設を縮小し、区職員の居住権を脅かしてまで保育園をつくるという手法は重大問題です。
その結果、すでに多くの区民から反対の声があがり始めています。公園を守りたい区民と保育園増設を求める区民との対立構図をつくってはなりません。
区は公園を潰すしかないかのように答弁していますが、民有地の活用を全く検討に入れていません。わが党区議団は、460億円を超える基金があり、そのうち300億円を超える財政調整基金の存在など財源があることを示し、先ほど示したように郵政宿舎跡地など具体的に用地も提案してきました。緊急性が高いからこそ財政出動も含めた対応が必要です。
二つ目の問題は、民主的な手続きを踏みにじっているという問題です。
区が行う施策は緊急であればあるほど、公園利用者など区民の声はしっかりと聴いて計画を進める必要があったと考えます。それができないのであれば、区民との軋轢が予想される計画を進めるべきではありません。区政は区民の合意や理解なしに進むものではないのです。ところが今回、この計画がつくられるのに際し、地域住民のニーズや声を聞くことなく、この議案が議会に上程されました。そして明日18日から説明会を行うという日程は、区民や利用者の意見を聞く姿勢がないことはあきらかで、手続きの逆転が起きています。緊急事態宣言というものが、民主的な手続きを踏みにじっていいという宣言であると考えているのであれば、非民主的な政治運営と言わざるを得ません。この事態が認められれば、今後区政において同様のことが起こりうると考えます。計画を策定する前に地域住民や利用者とも意見交換や住民説明会を行い、そこで出された意見を計画に反映させるべきです。具体的には久我山東原公園、向井公園、高井戸みどり公園、井草地域区民センター中庭の計画削除、修正のうえ再提出を求めるものです。
世田谷区では、保育所の建設を促進するため、区が土地を借りて保育所を運営する事業者と地権者の間に入ってマッチングする『誘致型』保育所整備を導入しています。今年度の新規整備で、この誘致型で民有地に3園整備を行います。杉並区も他区の例を参考にし、保育所整備を行っていくべきです。460億円までたまった基金残高を聖域とせず、区民の緊急事態であるということを、区長こそがしっかりと認識し、保育所整備に努めるべきです。
以上の理由により、議案第41号平成28年度杉並区一般会計補正予算(第二号)について、日本共産党杉並区議団は反対とします。
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以上です。
(16.5.26)
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