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０７.６.１５ 一般質問原稿�◆�
２、済美教育センターについて
済美教育センターの機能
教育相談とスクールカウンセラー
次に済美教育センターについて質問します。今済美教育センターは軽度発達障がい対応など区にとって大事な仕事を担っています。軽度発達障がいとはＡＤＨＤ（注意欠陥・多動性障がい）といわれるような子どもたちの症状のことです。近年、子ども発達センターでの診断の精度の高まりや特別支援教育の影響で軽度発達障がいへの対応が急激に増加し、センターの職員が対応しきれなくなる状態が広がっています。
センターには主な任務として、教育相談とスクールカウンセラー、教育サットという任務があります。教育相談業務は軽度発達障がいや適応障がいにたいし、箱庭療法や絵画療法などの心理療法を施します。スクールカウンセラーは各学校に週一日入りアドバイスをしたりする業務であります。
さて、スクールカウンセラーは近年導入された制度で昨年からは週一日各学校にセンター職員がはりつくこととなりました。それにともなって職員も増えるのですが、問題は経験を積む環境を与えられることなく新卒者でも突然現場に立たされることであります。教育相談やスクールカウンセラーは任務の専門性に違いがありますが、今はこの二つの任務はあえてすみわけせず、同じ職員が教育相談もスクールカウンセラーもやっています。どちらも経験することで力量が増すということもあるかと思いますが、それ自体に相当の技術や経験が必要です。
新任職員がベテランとそれぞれの抱えたケースについてアドバイスしあうような交流も、やはり多忙化の中で週一回から月一回になっていました。こうしたなかスクールカウンセラーでは学校現場との関係がこじれたり、教育相談ではもっとベテランの人に代えてほしいという声が上がるなど、問題も起きています。
私は今回、２０年ほども前にここで働いていたという方からお話をお聞きしました。当時の教育相談では新人はまず子どもの担当。親はベテランが担います。ある程度育ってきたら今度はあまり困難性の高くない親を担当させる。それから段々と困難ケースを持ってもらうようにしていたようです。受け持つ人数も新人はだいたい５〜１０名、ベテランは３０件ぐらいもったとの話も聞きました。ところが今は最初から新人が子どもも親もどちらにも対応しなければならないと言う状態です。新人が安心して成長する環境が失われているのではないでしょうか。
多忙化とこうした労働環境もさることながら、冷遇と言って過言でない給与設定も問題です。実はこうして働くセンター職員のほとんどが嘱託員。区職員は２０人のチームでなんと二人だけ。週４日勤務でほとんどの嘱託員の給与は２０万円に達しません。２０年以上勤めたベテランの嘱託員がいますがこの人でなんと２３万円に達しない。他の自治体と比べて５万ほども違うのではないでしょうか。この結果、せっかくセンターで育っても頼りがいが出てきた頃に他地域に奪われてしまい、また新人の採用という繰り返しなのです。
転出やスクールカウンセラーの導入もあいまって、教育相談で担当のいれかわりが日常化しています。プライバシーに関わる深刻な問題を相談に来ているのに担当がコロコロいれかわる。実はこれも深刻な問題です。これはスクールカウンセラーもそうで学校現場からすれば、週に一回しか来れないのに一年で担当が替わったりするのでは学校と関係などつくれるはずもない、といいます。「頑張ってくれてるのはわかってるけど継続的なアドバイスなど受けられていないのが現状」と現場教師は語ります。
今その重要性が指摘されている分野にもかかわらず、その事業における明確な支障をきたすほどの深刻な職員不足です。
質問１：ここでお聞きします。区はこうした現状をどう捉えるか、お聞かせください。
質問２：教育相談、スクールカウンセラーそれぞれの任務の専門性を認め、人員確保も含めた各任務のすみわけが必要ではないか、お答えください。
質問３：人員確保のなかで週一回の職員会議など職員が成長・発展できる職場環境の保障が必要と考えるがいかがか、お答えください。
さて、こうした状態の上さらに、火に油を注いだ形となったのが、今うわさの「教育サット」なんです。
済美教育センターの新しい機能として登場した教育サット。昨年からの準備段階を経てこの４月からスタートしました。保護者や学校の要請に応えていじめのほかにも事件発生時など出動して学校外部の力をもって問題を解決に導こうとする組織です。こういえば聞こえはいいのですが、先ほど示したような慢性的な人手不足にもかかわらず、これにセンターの職員がまた借り出されます。こうした打ち上げ花火的な区の対応にいよいよ現場は爆発し、ベテランや数年の勤務を経た人たちがばたばたと転出。この１８年度末、なんと２０名中、８名が出て行ってしまいました。
それでも教育サットが一番です。教育相談をやっていてもスクールカウンセラーで学校に出ていても呼び出しがかかります。明らかに他の業務はおろそかにされます。
いじめの報告があるとすぐにいくのはいいのですが、現場での対応がそもそも決まっておらず、その場しのぎの処方箋を出して現場が混乱します。もっと現場の声を聞いて、現場の支援になる方法があるのではないか。学校現場からは「教育サットって何？突然来て頭ごなしにいいたいこといって…」との声が上がっています。そもそもこの教育サット。現場教師たちへの周知がしっかりとなされていなかったのです。区長、教育長、この教育サット、現場では「サット来て、サット去る」こう皮肉られているのをご存知ですか。まさにトップダウンの弊害といえるのではないでしょうか。
質問４：さて、質問です。この教育サット、ベテランの転出、現場との不和など混乱をきたした実態をみれば、端的に「失政」といえるのではないか。あらためて聞くが学校の対応にダメ出しをするだけがサットの仕事なのですか？ こうしたサットの状態を区はどのように考えているのか、お答えください。
質問５：センター職員をつまみ食いするような寄せ集めではなく長期・専門にこの問題に取り組む集団形成など、事業の見直しをするべきであると考えますがいかがですか、お答えください。
答弁
＜済美教育センター所長（根本信司）＞
私からは、済美教育センターに関する事業についての質問にお答えいたします。
議員、さまざまにご指摘いただきましたけれども、私どもはそのようには認識してございません。また、現在の事業を進める中で、職員不足とは考えてございません。
最初に、教育相談事業とスクールカウンセラー事業とのすみ分けについてですが、従来は別個に担当しておりましたが、学校や関係機関との連携不足などの課題がありまして、そこで、昨年度より、それらの課題を解決するため、教育相談事業とスクールカウンセラー事業について一体的に運営することにし、その結果、関係機関との調整力や多様な相談に対する積極的な姿勢、視野の広がりなど、カウンセラーとして必要な力量が高まってきているところでございます。
また、カウンセラーの育成につきましては、一同が会した研修会や会議も必要ですが、実務を通して日常的なＯＪＴを実施し、それにより育成を図り、効果を上げているところでございます。
そしてまた、年三回程度、小中のスクールカウンセラー対象の研修会を開催したり全国研修会へ派遣するなど、個々のニーズに応じた専門研修へ派遣するなど、その能力の向上に努めております。
次に、教育ＳＡＴに関するご質問ですが、教育ＳＡＴ事業は今年度に開始したものであり、ご指摘の退職は本事業と関係ないものと考えてございます。
ＳＡＴの活動に関しましては、現在、学校との十分な連携のもと、的確に課題の事実確認を行い、心理の専門家の派遣や課題解決に向けて助言等の学校支援を行っております。特にいじめに対しては、早期に対応することにより、解決に向けて実績を上げているところであります。
また、チーム組織についてですが、指導主事を中心に、校長ＯＢや臨床心理士など必要な専門職でチームを編成しており、今後とも充実に努めてまいります。
以上でございます。
再質問
済美教育センターについて、こうした現状を一切認識していないと。重大な発言だと思うんですね。既にベテランの職員がほとんど入れかわっていなくなってしまった状態、毎年のように職員がかわる状態、慢性的な人手不足は、はたから見ていて明らかじゃないですか。これさえも、慢性的な人手不足という状態も認識されていない。だとしたら、私は所長のその資格を疑います。もう一度答えていただきたい。
スクールカウンセラーについては、両方やったほうがいいんだ、すみ分けをする必要はないんだということですが、だとすれば、百歩譲ってどっちもやったほうがいいというんだとすれば、いきなり新任、新卒の青年が全部できるわけないじゃないですか。最初は教育相談二カ月、三カ月、その後スクールカウンセラー二カ月、三カ月、なれてきたら一緒にやるとか、そういう丁寧な、職員の能力を開発するような、そういう環境が必要だと私は思いますが、これへの意見なんかはどうですか、お答えください。
職場環境の問題として、賃金についての少し見解を求めたいんですね。単なる単純作業のアルバイトと違うんです。杉並の子どもの未来を左右する、そういう仕事であって、心理療法を行う専門職なんですよね。この人たちが月二十万円にいかない給料で働かされているという状況についてどう思うのか、その人たちが次々と割と高目なほかの区に転出していってしまう状況をどう思うのか、それをぜひお答えいただきたいと思います。
職員研修などについても、何か実践の中でとかＯＪＴとか、私ちょっとよくわかりませんでしたけれども、言っていますけれども、効果を上げていると。効果を上げているんだったら、何でスクールカウンセリングでも教育相談でも、特に教育ＳＡＴでもこういうあつれきが生まれているんですか。その点について、この矛盾をどうにかして答弁で解消してください。
以上聞いて、再質問を終わります。
再答弁
＜済美教育センター所長（根本信司）＞
済美教育センターに対します再度のご質問にお答えいたします。
原田議員、さまざまなご指摘をいただきましたが、私ども、繰り返しになりますけれども、そのような認識は持ってございません。職員につきましても充足しているものというふうに考えてございます。
それから、職員の育成に関しましては責任を持ってやっているところで、さまざまな方法の中で、私ども一番最適な方法を行っているところでございます。
報酬につきましては適切なものと考えておるところで、あつれきに関してもないものというふうに認識してございます。
以上でございます。
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