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16.2.16一般質問原稿

【第4次事業化計画案、優先整備路線について】

【成田東3丁目の都営住宅跡地について】


<第4次事業化計画案、優先整備路線について>

 私は日本共産党杉並区議団を代表して区政一般について質問させていただきます。
 昨年末、まさに地域を揺るがす、驚くべき計画が東京都から発表されました。私は成田東に住んでいますが、今年の新年会シーズン、町会などでこの計画を話すと、一様に驚きと怒りにも似た声が聴かれました。その計画とは、「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」です。この計画では、未着手の都市計画道路約2000区間、総距離1210kmのうち、今後十年間に、土地の買収に向けて動き出したほうがいいとする道路、いわゆる優先整備路線が発表されます。第3次計画でも優先整備路線に指定されている高円寺北の補助227号線、西荻窪の132号線など商店街を踏みつけにし、拡幅で相当の地域破壊を引き起こすような計画ばかりで、計画自体は進みませんでしたが、地域に不安と混乱を引き起こしてきました。第4次計画ではあらたに環八から旧早稲田通りまでの早稲田通りの拡幅、中杉通りの五日市街道までの延伸、高円寺北の環七からJRに沿って中野区に向かう道路の延長拡幅などがあげられることとなりました。これらには地域から反対の声がある路線、区が重点路線にもあげていなかった路線、あるいは住民にとって寝耳に水という路線などが含まれています。
 そもそも都市計画道路とは何なのでしょうか。それは都市計画法に基づいて都市計画決定された道路をさし、東京だけでなく全国にあるものです。その都市の基盤をなす施設としてつくられる道路ですが、その多くが戦後の混乱期に決定されたもので決定から70年たつというのに何も進んでいない道路も少なくありません。つまりは現実性や有効性に乏しい道路が多いのです。
見直しも必要と言われていた折、東京都は1981年、全国で初めて都市計画道路の整備を、計画期間と目標を明確にすべく、第一次事業化計画を発表しました。これがきっかけになって全国で都市計画道路の建設が喚起されました。
バブル崩壊後も事業化計画は発表され続け、今回で4次となります。全国各地で沸き起こる批判から東京都も「必要性の検証」を表明せざるを得なくなりました。しかし、発表された結果は酷いもので、見直し区間は9区間の4.9㎞分に過ぎませんでした。全計画のわずか0.4%…つまり99.6%は存続となったのでした。どうしてでしょうか。実はこの「必要性の検証」というのは15項目の必要性を見極める検証項目に一つでも引っかかれば存続とされてしまうという極めてずさんな検証なのです。こうした必要性の検証を第三次計画の例で見てみますと、例えば一日6千台通過するかという検証項目があります。そもそも都市計画道路の想定規模は一日一万二千台なのですが、この項目ではなぜかその半分の一日6千台を超えるかが問われるという意味不明な基準となっています。一日6千台というのはもうスカスカの道路ですが、都は「道路が混雑することなく円滑に走行できる」と肯定します。そもそもなぜつくらなきゃいけないのかわからなくなる検証項目です。「バス交通を支える道路網の整備」という項目では「バス停から歩行距離が500mを越えて離れる地域が生じないように道路を整備しようと言います。もしかしたらバスが通って便利になるかもしれないから道路をつくろうという検証項目です。極めつけは「地域のまちづくり」支援という項目です。それにはこう書いてあります。「街を訪れる人たちが…スムーズかつ安全に自動車を利用でき」るような道路になるのか?という検証項目です。そりゃあ、道路を際限なく作れば車の運転だけはスムーズになるのでしょう。自動車のスムーズな運転が「まちづくり支援」なんだという驚くべき自動車優先の考え方です。これではどんな道路計画も引っかかります。この三次計画よりもさらに第4次計画では検証項目が増えているのです。むしろそれらの項目があって取り消しになる区間が9つもあったことこそ、全体としてどれだけ非現実的な都市計画なのかがわかるではありませんか。もはや「必要性の検証」は道路整備計画を残すためのセレモニーといわざるを得ません。
そもそもいったいどれだけの道路が東京には必要だというのでしょうか。第4次事業化計画ではその点が全く明らかにされていないので、この10年間ほどの都内の自動車事情について調べてみました。例えば東京の自動車保有台数を一般社団法人自動車検査登録情報協会HPからみると、2005年が371万台であるのに対して2014年は332万台と40万台も減っています。交通量の実態を東京都環境局資料に基づいてみると2002年553億1700万台kmが2012年には371億8900万台kmと33%減少しています。車の交通量はどんどん減っているというのがどの調査でも一貫しています。
こうした中、全国で都市計画道路の見直しが始まっています。北海道では基準となる1万2千台の交通量のさらに125%を基準として、それを下回った道路は見直すという基準を決めました。大阪ではピークと予想されていた交通量から将来は7割に減るという予測から、まずその分の計画を削るという方針を固めました。京都では「成熟した市街地でのコミュニティの維持など地域特性を活かしたまちづくり」に背く都市計画道路の見直しを表明しています。それは大都市や文化都市の話だけではなく、例えば長野県南箕輪村はHPにこう述べています。「現在の都市計画道路が本当に必要かどうかをさまざまな観点から客観的に検証し、必要であれば計画を存続・追加し、不必要であれば変更・廃止するなど、社会情勢の変化に対応した計画に修正していきます。また、見直しに関して、村民の方を対象としたアンケートや交通量調査を実施予定です。」と。東京都に従ってしまう基礎自治体が多い東京と違い地方では自治体が独自に、批判的に必要性を検証しているのです。
 振り返って杉並区を見回すと、「都心に近い閑静な住宅街」という他にはない街の表情が、百年近くの歳月をかけて形成されてきました。京都は成熟した地域特性を理由に都市計画道路を拒み始めているのですが、杉並にもそうした地域特性がそなわっているのではないでしょうか。すでに杉並には東西に、早稲田通り、青梅街道、五日市街道、井之頭通り、甲州街道が伸び、大久保通りや方南通り、神明通りなども東西に延びる重要な道路です。南北には環状七号線や環状八号線という大動脈が走っており、杉並にはすでに網の目のように道路がつくられているのです。環七、環八の間には鎌倉街道や荒玉水道道路、他にも名はないけれども、住民にとって大きすぎず、住環境に支障をきたさない程度の南北道路がしっかりと伸びています。そうした絶妙のバランスをもって、いわゆる閑静な住宅街という杉並の特性が形成されてきているのです。そんな生活道路に渋滞が起きようとするとき、その時は道路を増やすのではなく、むしろ車中心の社会の在り方を変えていく。それが住宅都市、杉並に暮らす区民の選択の在り方だったのではないでしょうか。
そこでお聞きします。
Q 住民の声に基づかない都市計画道路は全てを白紙撤回し、住民との膝詰の議論で新たなまちづくりの構想をつくっていくべきと考えますが、都市計画道路そのものに対する区長の見解をお聞かせください。
Q 区は住宅都市としてのまちづくりの在り方と、都市計画道路の整備との関係をどのように考えているのか、区長のビジョンというものをお聞きかせください。
さてここからは、主に、今回優先整備路線にあげられた路線について伺いたいと思います。区は都市計画マスタープランにおいても補助133号線の整備を都に要望する姿勢をとってきました。中杉通りの延長上にある成田東4丁目、3丁目は駅に近く、かつ閑静な住宅街であり、多くの住民はこの環境に満足しています。築浅の住宅や新築もいくつもあり、この地域に住みたいという若い世代が少なからず移り住んできています。最近成田東3丁目に移り住んできた若い夫婦は「駅にも比較的近く、それでいて学校や図書館にも近くて、落ち着いた街並みが気に入って移り住んできた」と語ります。しかし、この家庭の目と鼻の先に16mの道路が建設されることになるのです。そこでお聞きします。
Q 区は成田東3・4丁目の住環境や地域特性についてどのようにとらえているのかお答えください。
Q 立ち退きの件数はおよそ何件になるのかについても示していただきたい。
また地元の町会長は「どれだけ便利になるといってもこれだけの住民を立ち退かせて莫大な税金を使う必要があるのか」と財政の問題も心配します。この心配は町会長だけのものではないと思います。区はこの道路があったらまちづくりに寄与するというばかりで、いったいどれだけの土地の買収や工事経費がかかるのか試算もせず、事業化を都に求めるばかりです。例えばこの区間は890mで経費は数十億ではすみません。それでも未着手の東京都の都市計画道路の総距離1,210kmの0.1%にもなっていません。これからどれだけのお金がかかるというのでしょうか。区はそうした全都的な視野にも立って責任ある立場にたってもらいたいものです。そこでお聞きします。
Q この地域の環境を大幅に変え、莫大な予算をつぎ込んででも道路を整備しなければならない理由をどのように考えているのか、あらためてお聞かせください。
区は補助133号線青梅街道から五日市街道区間について、整備を都に求める立場を明確にしているが、住民から寄せられる道路整備反対の声もしっかりと都に伝えるべきと指摘しておきます。
補助 74号線 早稲田通りの区間についてお聞きします。この道路は区が都市計画マスタープランで重要路線と位置付けていなかった都市計画道路です。地域にとっては寝耳に水。にもかかわらず今回、東京都が優先整備路線に指定してきました。すでに指摘したように、道路の拡幅は道路が広くなって便利になるというだけでなく、住環境に負荷を与え、財政を圧迫する事業となります。都に任せるだけでなく、自治体からこそその必要性について検討する姿勢が必要です。そこでお聞きします。
Q 補助74号線 環八から旧早稲田通りの間の早稲田通りの拡幅について、区としては必要性をどのように考えているか、都にはどのような意見をあげるつもりか、現時点での見解をお聞かせください。
 補助221号線 高円寺駅の北口から中野まで伸びる道のうち、環七から中野駅まで続く道を拡幅する計画が新たに区施行の優先整備路線とされました。そこでお聞きします。
Q この地域にとっては寝耳に水となる計画だと考えるが、区施行の路線であり、区としてはどのように周知していくつもりか。
Q 立ち退きなど地域への影響、及びこの路線の必要性について区としてどう考えているのか、見解を伺います。
こうした多くの路線についてパブリックコメントが12月18日から2月10日にわたって行われました。ところが都の周知はネットで公表するくらいであり、専門家や地元区議が反応するにとどまりました。そこでお聞きします。
Q パブリックコメントは多くの住民が知らないまま受付期間が終了しており、極めて問題です。今回取り上げなかった路線でも住民の反対を受けるのが必至な計画がいくつもありそうですが、各優先整備路線の指定を住民が知るのは今後となるのが実態です。そこで今後区によせられる住民の声はしっかりと記録し、都に伝えるべきと考えますがいかがかお聞きし、次の質問に移ります。

<成田東3丁目の都営住宅跡地について>

 次に成田東3丁目の都営住宅跡地についてお聞きします。私は2010年からこの土地の有効活用を訴えてきましたが、そうした声に応え、区は東京都にたいし、福祉目的の活用を申し入れました。私はこの方針を歓迎する立場からそのことをニュースにして地域に配布しました。するとそれを受けて、この地域の住民が町会会館に集まりまして、この跡地にどのような施設がつくられることが、この地域にとって重要か、意見が交わされました。私も当時この集いに招待され、様々な意見を聞き、それを議会に届けてきました。
 保育園待機児問題を受けて、保育園を求める声、身近な介護施設を求める声、あるいは防災性を備えた公園として整備してほしいとの声など本当にさまざまな要望が飛び出しました。するとそうした要望に対して、保育園はやめてほしいとか、公園ではもったいない、介護施設は送迎車量が大量に押し寄せる、など他の意見を批判する声も出てきたりして、一筋縄ではいかないと感じる議論が展開されました。しかし、じっくりと議論する中でお互いの意見の尊重の念も高まり、コンセンサスができていく雰囲気も感じました。私は参加者から、こうした議論があったことを両論併記の上、しっかりと区議会に伝えてほしいと要望されました。住民参画とはかくあるべきと学ばせてもらったものです。
 私はそうした声を区議会の様々な場面で伝えてきましたが、ところが、その後の区の対応は地域に不満の声を高めました。区議会議員がこうして動かない限り、区側から地域に声を聞きに来たり、進捗状況を説明にこなかったことも不満を募らせましたが、決定的だったのは昨年の第4回定例議会で、実は6月に東京都から区にたいし、この跡地の正式な照会があったことがわかったことです。このことを住民や地元区議にも知らせず、12月末にはどのような施設にするかを決めて都に申し出ることになっていたため、地域も私も驚きました。私が政策経営部長に、なぜこのようなことが地元区議にも知らされなかったのかと聞くと部長は「聞かれなかったから言わなかった」と驚くべき返事でした。こうした区の対応に地域住民は「それが区の仕事か」「聞かれなかったからだなんて子どもの遣いじゃないぞ」と怒りの声をあげています。せっかく福祉施設をつくるという喜ばれる計画のはずなのに、わざわざ区の評判を下げるような言動を繰り返すのか、不思議です。これは保育園建設でもそうで、各地につくられる認可保育園ですが、どこでも地域住民と摩擦が起きています。隣接住民はそれほど保育園建設に批判的ではないのですが、区の対応があまりにも横柄かつ強引で、地域の不評を買っているのです。これも本来、区の評判をあげるはずの計画が逆に区の評判を下げている現象の一つです。かつて杉並区はこうした地域施設をつくるとき、しっかりと地域の声を救い上げ、施策化していく姿勢がありました。しかし山田区政以来、“政治は一気に進めないと住民の中に批判勢力が現れる”という思想が、というより強迫観念が区長部局を支配するようになりました。これではたとえいい施策でも住民と摩擦がおき、現場で区民と接する職員も疲れてしまうはずです。田中区長にはこうした山田区政の弊害こそ払拭すべきではないでしょうか。
 さて、年末になって区が東京都に打診した福祉施設の内容は地域密着型特別養護老人ホームでした。1700㎡を超える用地から考えれば、妥当な判断であり、私も前向きに地域に知らせたいと考えます。しかしながら、先ほども指摘したように地域には、「住民の声を聞かずに区が決めた」とか「違う施設が良かった」という声も出かねず、率直に言って、即歓迎する立場で報道しにくいのが現状です。ただし、町会長などから話を聞くと、地域から一致して声が高いのが、どんな福祉施設であっても、ぜひその中に地域が使えるホールか、せめて会議室を設置してほしいとのことです。そこでお聞きします。
Q 地域からは、地域住民が利用できる多目的ホールあるいは会議室を付けてほしいとの要望がある。今後、都の事業者募集に際し、都との交渉、事業者との協力体制をはかり、ホールあるいは会議室の設置について区として検討していただきたいと考えるがいかがか。区の名誉挽回のチャンスと思ってお答えください。
 さて、今回区が要望した地域密着型特養ホームの魅力はなんといっても、これまで住み慣れた地域での生活を続けることができるという点です。また規模も小さいため家族的で親密なサービスが期待できます。小規模多機能型居宅介護施設等との併設により整備は進められるものと考えられますが、今後はこうした大規模でない土地でも作れる特養ホームが注目されてきており、その第一号が成田東3丁目の都営住宅跡地となったのです。そこでお聞きします。
Q 地域密着型特養ホームの建設はこの案件が区初となる。世田谷では一年に一カ所のペースで建設していくことを決めているが、杉並区としては今後どのように進めていく考えか。例えば当面7つの地域に一か所ずつつくるなど計画を進めてもらいたいと思いますが、区の整備方針についてあらためて意気込みを伺います。
 この事業は民間業者に任せておけばいいものではなく、区の事業者への支援が不可欠です。ましてやここに、地域のホールや会議室機能を入れるなどというのは区の支援なくできるものでは決してありません。ぜひとも住民の声を聞き、計画に取り入れて頂けたらとお願い申し上げ、私の一般質問とさせていただきます。
(16.2.16)
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