2008年12月22日「医療再生シンポジウム〜医師・国会議員・医学生からの提言〜」

医学生の立場から、医師不足と医師養成について提言しました。現在、国では医師不足を背景に卒後臨床研修制度の見直しが検討されています。特に研修期間を2年から1年に短縮して、8千人の医師を増やすという方針が大きな問題となっています。まず、研修制度と医師不足を分けて考える必要があります。これまでの研修制度は単独診療(教育がなされない、経済的問題)、過酷な勤務などの問題がありました。そこで医学生たちが、トリアス要求(身分・経済の保障、研修の教育の保障、研修の自由の保障)を要求し、2004年に「医師としての人格を涵養し、プライマリケアの基本的な診療能力を習得するとともに、アルバイトせずに研修に専念できる環境を整備すること」を目的に、新臨床研修制度が策定されました。今回の深刻な医師不足を招いた原因は、絶対的な医師不足と医療費抑制政策、大学予算の削減などがあげられます。よって、研修制度が医師不足の主因とするのは間違いだと思います。私たちは国民、患者さんの立場に立って、何が求められているのかをしっかり考えていきたい!

小池先生からは、医療崩壊・医師不足の原因は明らかに政府の医療費抑制政策が原因。政府は81年に臨調で「増税なき構造改革」を掲げ、翌年には医学部定員の削減、83年には官僚から医療に金を掛け過ぎると国が滅ぶ「医療費亡国論」が出され、01年の小泉構造改革で毎年社会保障費が2200億円削減されてきました。その一方で、防衛費や公共事業などにはしっかり予算が回っている。大企業の法人税の減税分が、消費税収の穴埋めになっている。政府は大企業に対しては国際競争への配慮から法人税を増税せずに、国民に負担を強いている。全く弱者に厳しい政治が行われている。「私はこうした政治の病を治すために、国会病院で戦っている!」と熱く語ってくれました。

以上、それぞれの立場から、「医療再生」について語ってもらいました。昨今の事態を招いているのは、国の低医療費政策です。実際、日本の医療費は先進国中最低、逆に国民自己負担は世界最高、さらに薬剤や医療機器は世界一高い現実があります。これまで少ない予算でやってこられたのは、現場の医師や医療スタッフの頑張りが大きいと思います。最近やっと国も医師不足を認め、医学部定員増を打ち出しました。さらに研修期間を1年短縮し、医師を8000人増やすことが検討されています。しかし、初期研修が必修化されたことと医師不足は関係ありません。確かに必修化されたことにより大学病院に残る研修医が少なくなり、派遣していた民間病院から医師が引き揚げ地域病院で医師不足が起きているという現象はあります。それは、何故大学病院に残らないのか?を考える必要があると思います。大学病院も魅力的な研修であれば、残る人も増えるのではないかと思います。今回の医師不足問題は、そもそもが絶対的な医師不足に、2004年の臨床研修必修化によって医師不足が顕在化したことであると言えます。まず、必要なことは、社会保障費2200億円削減方針を撤回し、充分な予算措置を取ることが求められます。

学生の感想「3人とも熱い想いで活動しているのが分かった。税金の無駄使いは何とかしたい。解決に向けて何ができるか考えます」「医療崩壊の問題は人事ではない。医師は足りていないのだから増やしていくべきだと思います」などの感想が寄せられました。

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