MASAKI TANAKA 田中まさき
くらし・福祉を市政の主役に 日本共産党 水戸市議会議員 田中まさき
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市政レポート
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東日本大震災から100日、水戸のまちは…

水戸市の震災状況と防災対策について
 2011年6月19日 水戸市議会議員 田中まさき

 「3月11日から100日」、本日6月19日の新聞のトップの見出しです。県都・水戸市も大きな被災をした東日本大震災、まだまだ傷跡が深く残されています。震災直後を振り返りつつ、現状をレポートします。
水戸市は震度6弱を記録、過去最高の地震となりました。市役所本庁舎、水道庁舎、消防本部がいずれも使用不能に陥りました。おそらく市役所本体が使えないのは県内では水戸だけ、被災した県庁所在地でも唯一ではないでしょうか。現在はプレハブなど15カ所に窓口が分散し、市民にとっても市職員にとっても、極めて不便な状態です。市長選と市議選も4月の一斉選挙から5月末に延期され、現在、改選後はじめての議会が行われており、復旧のための大規模な補正予算が組まれました。ちなみに議会は芸術館の隣のみと文化交流プラザ(旧・文化福祉会館)の6階ホールを仮議場としています。
東日本大震災における水戸市の被災状況は、全壊172件、大規模半壊143件、半壊591件、一部損壊18408件(6月4日現在)、死者2名、負傷者80名です。学校施設では、今も使えない校舎・体育館が16校残されています。市民センターなどでも使用不能施設が続出し、今も2カ所はプレハブです。本来、避難所となるべきこれらの公共施設がその機能を果たせなかったことが大きな問題です。現在も通常の文化活動などへの貸し出しができなくなっています。また、市民会館が市役所臨時庁舎となっているため、様々な会合などをするのにも会場がなく支障をきたしています。駅南地区を中心に液状化の被害が深刻で、道路の陥没やマンホールの飛び出し、電柱の傾きなど、余震で今も動いているものもあります。道路も応急復旧から本格復旧にまだ移れていません。
震災を振り返っての教訓、問題点としては、第一に市民への情報伝達がほとんどなされなかったことです。水戸市の防災広報車はわずか2台、しかもライトバンに小さなラッパ2つだけ。防災無線は旧内原地区と国田などの周辺地区に屋外のスピーカー式のものがあるだけで、主要都市部の情報の頼りは茨城放送のラジオだけ、という状況でした。私達が震災直後に発行した災害情報をのせた「災害復旧支援ニュース」が喜ばれよく読まれました。新市長は災害対策本部と市民センター、学校などの緊急時の連絡用に、携帯式の防災無線受信機を配備するとしています。それは当然としても、私達は大洗町やひたちなか市のように、各家庭に防災無線の戸別受信機の設置を求めている所です。
第ニは、水道の断水が全市で解消し、完全通水になるまで1週間かかったことです。水戸市の水源は那珂川で、そこから楮川浄水場、開江浄水場の2カ所にポンプアップして市内に自然流下で配水しています。楮川浄水場には1カ月分を賄える水が蓄えられているというのがこれまでの市の説明でした。幸い2つの浄水場は地盤がよいのか施設面での被災は少なく水をつくれる状態でした。しかし、水をつくるにも電気が必要。川からポンプアップし、水をつくり、タンクにためるためにまた電気でポンプアップする。停電が市の想定以上長く続いたため、自家発電機では通常時の8分の1しか水をつくれない、あちこちで水道管が破損し漏水する、水道タンクにも水道管の中にも水が空っぽになってしまい、通常の水圧に戻るまで日時を要したとのことです。県の企業局の浄水場が大きく破損したため、多くが県の水に頼っていた常澄地区は特に断水が長く続く結果となりました。安定給水のために県の水は必要だとしてきた説明が全く逆の皮肉な結果となりました。自家発電の容量拡大や水道管など水道施設の耐震化が課題です。また、個人の井戸が活躍したこともあり、防災用井戸登録制度の実施を求めていきたいと考えています。
第三は、被災住宅が多くある中で、90%以上は一部損壊の見込みです。国の被災者生活再建支援制度や、各種税金の減免も全壊、半壊までが対象です。罹災証明の調査に期待していたのに一部損壊では何の援助も受けられないと、市民の中に不満の声が広がっています。そこで、私達は県内自治体で取り組まれている住宅修繕費の補助制度の実施を求め、署名運動にも取り組んでいます。また、一部損壊でも確定申告の雑損控除の対象になることなど、広く広報するよう求めていきたいと思います。梅まつりの真っ最中に震災となり、偕楽園も大きな被害をうけ、閉鎖となったこともあり、観光や地域経済にも打撃となっています。農地が地割れしたり、常澄地区では津波被害による冠水で作付できない地区もあり、こうした被災者への支援や無利子の融資などの制度の拡充も必要です。
第四に、塀や瓦などのガレキの撤去では、市が回収作業も行うとしながらそれを翻して個人責任でやるように変更し、その後一部は回収するとしたため混乱が起きました。今は災害ごみの個人持ち込みによる回収を6月末で締め切ろうとしています。しかし業者が忙しく、ブルーシートが屋根にかかったままの家が大多数です。塀の修繕もはじまっていない所がほとんどです。災害ごみの回収の延長を求めていきたいと思います。ちなみにインターネットでグーグルアースを開いてみると、震災後の航空写真が公開されており、水戸の町はブルーシートだらけということがよくわかります。
第五に、「市役所はどうなるのですか」とよく聞かれます。市は今年10月頃までかけて、市役所本庁舎の損傷度調査を行い、補強して使えるのか、壊すしかないのかの判断をするとしています。壊すことになった場合、現在地に建て替えるのか、引っ越すのか、いずれかの決断を下す時がくるでしょう。その場合は耐震性を確保し安全で、あまりお金をかけず経済的で、市民が利用しやすい機能性を確保し、位置についても市民合意で進めることが大事だと考えています。新市長は旧県庁のあった三の丸の庁舎跡に窓口機能を集約したプレハブ庁舎を建設する方針です。私達も市民のみなさんの意見を広く聞いて、議会でも取り上げていきたいと思っています。水道庁舎は市役所本体より深刻で、すでに西南方向に傾き、沈みこんでいるため、解体しかない見込みだそうです。消防本部は現在地建て替えで設計予算が組まれました。いずれにしても国・県などが庁舎再建に補助をしてくれるよう(今の制度では補助がない!)私達も強く要請していきたいと思います。
第6に原発事故、放射能汚染の問題です。今、水戸市では水道水の放射能濃度測定、大気の固定モニタリングポストは3カ所で測定しています。これに加え、携帯測定器による34小学校での測定に続き、保育所などで測定を行い、ホームページで公表しています。また、市の教育委員会は学校でのプール実施を見合わせています。給食の食材が不安だとして弁当持参の児童もいます。放射能測定の場所と回数を増やし、広く広報するよう求めていきたいと思います。原子力災害対策を定めた防災計画をみると、想定しているのは大洗の「常陽」のみで、半径8キロ圏内だけです。東海第2原発から20キロ圏内に市役所も県庁も入ってしまうわけで、1万2000人分しか備蓄がないヨウ素剤の配備を含め、防災計画そのものの根本的見直しも必要です。
市民の要望も市の課題も山積しています。福祉と防災のまちづくりをすすめ、1日も早く水戸のまち、市民生活の復興を実現できるようがんばっていきたいと思います。

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