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2008年6月議会 一般質問 2008.6.17
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日本共産党の田中まさきです。2008年6月議会にあたり通告に従い一般質問いたします。
1.霞ヶ浦導水事業について
はじめに霞ヶ浦導水事業について質問します。3月27日、茨城から栃木まで那珂川沿岸すべての7漁協が一致結束して、霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めの仮処分を水戸地裁に申請しました。那珂川の清流と漁業権を守ろうとする「那珂川アユ裁判」です。那珂川はアユ漁獲高が全国一で、6月1日のアユ解禁日には全国から多くの釣り人が集まり、漁協の皆さんは事業中止を求める署名に取り組みました。
市は、漁協による裁判の提起と漁業権についてどう考えているのか見解を伺います。
国土交通省は、裁判を無視して、4月4日から水戸市渡里町に巾50メートルもの取水口を建設するため、測量作業を始めましたが、漁協の反対などで中断しました。取水口計画地では、モクズガニやウナギ漁の漁具が仕掛けられ、漁業が営まれており、国は那珂川に入る工事は当面見合わせたものの陸上工事を強行しています。これまで、国による橋や道路などあらゆる工事で漁協の同意なしに実施した例はありません。その上裁判まで提起されているにも関わらず、司法判断も待たずに工事を強行するのは言語道断です。市は国に対し、ただちに工事中止を求めるべきですが答弁願います。
また、漁協の皆さんは、国交省がつくった建設ありきの「試験検討委員会」は信用できないとして、5月10日、漁協独自に「那珂川の魚類・生態系影響評価委員会」を立ち上げました。委員長は水産資源学が専門の農学博士・川崎つよし健東北大学名誉教授、委員に霞ヶ浦の水質汚濁研究で知られる茨城大学の高村義親名誉教授など、河川の水質や水産資源の専門家集団です。橋本知事でさえ、漁協の評価委員会を無視できない旨を表明しており、当然、水戸市としても漁協の評価委員会の検証を尊重すべきですが答弁願います。
特に加藤市長は、桜川や千波湖の水質は盛んに強調しますが、水戸市民の飲み水の水源であり、自然豊かな那珂川の環境については無関心のような気がしてなりません。那珂川の自然環境を守る考えがあるのか、認識を伺います。
栃木県の福田知事は4月22日の記者会見で、那珂川は「全国でも有数の自然豊かな河川であり、県民が誇る貴重な財産」であり、漁協の反対に対し「県民が懸念する水産資源への影響の防止、那珂川の自然環境が重要であるという点は私も同じ立場だ」と述べ、国に対して意見書を提出しました。また、大田原市や茂木町など栃木県内の那珂川沿いの6市町で、導水事業の環境的な観点などを検討する協議会が設置される運びであり、水戸市もこれらの関係市町村と歩調をあわせ、国に意見を出すべきではありませんか。
5月27日、13年に及んだ全隈町の産廃処分場建設差し止め裁判は最高裁で住民勝訴が確定し、原告住民の皆さんは「命の水を守ることができた」と勝利を喜びました。5キロ離れた産廃施設でも水道水を汚染する危険があると認め、水源地を守るための市や国の責任を明確にした司法判断を水戸市は重く受け止める責任があります。
さて、国は那珂川の水が足りないときに霞ヶ浦から毎秒最大12トン導水するとしています。しかし、霞ヶ浦の水質は、水中のチッソやリンの濃度が高まり、悪臭を放つ有毒アオコ=ミクロシスティスが発生するなど水質悪化は深刻ですが、市長は霞ヶ浦の水質についてどのような認識をお持ちでしょうか。仮に霞ヶ浦の水が来た場合に桜川・千波湖に導水するのか答弁願います。また水戸市水道の枝内取水口からすぐ下流に導水されますが、那珂川の水量が少ない時に導水され、取水口周辺に滞留すれば水道水として取水される恐れがありますが、その場合水道水として取水するのか、しないのか、答弁願います。
2.水道行政 県中央広域水道用水供給事業の契約水量の見直しについて
次に、県中央広域水道用水供給事業の契約水量の見直しについて質問します。霞ヶ浦導水事業が完成すると、県中央広域水道との契約で水戸市に日量3万400トンの水が押し付けられ、使っても使わなくても払う基本料金は、現在の年間1億3770万円から6.4倍の8億8300万円まで膨れ上がります。そうなれば水道料金値上げにつながります。
今年3月議会の私の質問に、橋本水道事業管理者は「協定水量と契約水量に差が生じている」ため「関係市町村協議会で十分検討し、将来的な協定水量について県と協議する」と答弁しました。5月13日、県内の日本共産党議員団が、過大な水需要予測にもとづく全国一高い県の水の押し付けをやめるよう申し入れたのに対し、県企業局に「関係市町村からまとまった要請があれば契約水量の見直しもありうる」と答えました。
水戸市は6万人分の余裕能力があり、高い県の水はいらないという立場で契約見直しに臨むべきです。中央広域水道全体で見ても契約水量の合計日量24万トンは現在使用量の5.2倍であり、実態に合わせ下方修正をただちに申し入れるよう求めますが答弁願います。
3.市街化調整区域における開発について
(1)条例改正の目的について
次に、市街化調整区域における開発について、本定例会に議案第62号として条例改定が提案されておりその目的を伺います。本条例は、市街化区域から1キロメートルの範囲内で、指定区域をエリア指定し、自己用住宅の建設を認めてきましたが、住宅建設戸数の推移をお答えください。
今回の改定案では、自己用住宅のみの制限をはずし、業者による開発を可能とするものですが、その理由を伺います。この間、自己用住宅といいながら実態は業者主導の不適切な住宅建設が相次いだと指摘されていますが、そうであるなら、自己用住宅のみの制限をかけたまま、必要な道路幅などの開発基準を適用し、適正な建設となるよう改正すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
また、開発面積の上限を1000平米から50倍の5万平米(5ヘクタール)に拡大する理由について、またその場合、40戸連たん及び敷地相互の間隔70メートルの基準に関係なく、エリア指定区域内ならどこでも開発が可能なのかも答弁願います。
5万平米に緩和されれば、一ヶ所150戸規模の団地も可能になり、もはや市街化調整区域とは呼べない規模の開発になるのではないか。私は、同様の条例があるつくば市に出向き調査しました。つくば市では、市街化調整区域での住宅建設で自己用も業者による開発も認めていますが、指定区域は水戸市のように広範囲ではなく、ごく限られた区域です。
さらに、1つの開発面積の上限は3000平米であり、汚水は公共下水道に必ず接続できることが条件です。現在開発中のつくば市二ノ宮の現地調査をしましたが、市街化区域に道路を挟んで隣接し、小学校もすぐ近くにあり、開発面積は2882平米で戸数は7区画でした。つくば市のような制限を加えるのも有効な方法と考えますがいかがでしょうか。
(2)まちづくりの問題について
次に、条例改定した場合のまちづくりの諸問題を4点にわたり質問します。
第一は排水問題です。業者による開発の場合、合併浄化槽から都市下水路や道路の側溝などへの放流が義務付けられますが、問題はその排水路の容量が果たして十分なのかということです。雨水について、市が採用している流出係数では、土や緑地だった場所が建物や舗装道路になれば6から7倍の水が流れ出すとしています。1ヘクタール未満の小規模開発は調整池の設置が義務付けがなく、連続した土地に建設されれば、たちまち水があふれることが懸念されます。市街化区域内でさえ、おか水対策が必要な箇所が多数残されていますが、都市下水路の整備延長は年々減少し、調整区域の排水路予算も3年前に比べ1億4000万円も削減されています。調整区域の整備は益々後回しとなり、良好とは言い難い環境が生まれるのではないか。将来、都市下水路などのインフラ整備にかかる費用はどれくらいになると見込んでいるのかお答えください。
第二は、今回の規制緩和が、市街化区域の空洞化や空き家を増加させないのか伺います。水戸市の人口統計で過去3年間(平成17年と平成20年)を学区別に比較すると、人口が減った順に新荘・常盤・堀原・城東となっており、中心部の空洞化が顕著です。逆に増えた順は梅が丘、吉沢、寿、笠原などです。
また、総務省統計局が5年に一度行っている「住宅土地統計調査」によると、水戸市内の空き家戸数は、98年度の1万2480戸から、2003年度には1万8530戸に増え、総戸数の16%が空き家です。今年再調査されますが、06年と07年の2年間だけで、1700戸のマンションが建設されたものの半分近くが売れ残っており、空き家が急速に増えたことは明らかです。アパートなどが埋まらなければ大家さんは大変になり、空き家が増えることは防犯上も問題です。都市基盤が整備されている地区から、未整備地区に人口移動することは、二重の公共投資をもたらしますが市の見解を伺います。
第三は既存団地の売れ残りをどう考えるのかです。公共事業で進めてきた住宅団地だけでも、東前区画整理、内原駅北区画整理、水戸市土地開発公社の水府・青柳・堀希望が丘団地、県住宅供給公社の百合が丘団地と十万原団地の一期分をあわせると、残区画は約1200戸にのぼります。元石川町の民間開発を足せば、約2000戸です。今回の条例改正で選択肢を増やすと言いますが、わざわざ税金投入した団地が益々売れなくなることは目に見えています。売り切る自信があるのかお答えください。
第四は、公民館や学校の許容量への影響をどう考えているのか伺います。水戸市の公民館の学区人口に対する述べ床面積の設置基準を満たしているのは33館中11館しかありません。今回の条例改定で、住宅増加が見込まれる吉沢・寿・笠原の公民館はいずれも基準以下で狭く、さらに人口が増えれば、利用が一層過密になります。文部科学省が社会教育法に基づき定めた「公民館の設置及び運営に関する基準」の第1条は、必要な基準を守ることは市長の責任と明記しています。
4.固定資産税について−過大請求の例と市の対応について
次に固定資産税について過大請求の例と市の対応について質問します。「地価が下がっているのになぜ上がるのか」「とても払いきれない」との声が多く寄せられる固定資産税は、申告ではなく市が一方的に賦課する税金だけに市民に信頼される対応が強く求められます。
私は最近、固定資産税について、1つは地籍調査で過大請求が判明したケース、2つは小規模住宅用地の非適用で過大請求が判明したケースの相談を受けました。
ある方は元吉田地区の地籍調査で、実際の面積が登記簿面積よりも90平米、27坪も小さいことが判明し、88年に土地を取得してから20年にわたり固定資産税を年間2万円、総額40万円も高く納め続けていました。しかも、今年度は地籍調査前の面積のまま賦課され、5月30日に訂正を求めて是正されたものの、過去の分は返還されていません。
市に確認すると、過大請求の原因は、かつて広い面積を有していた土地が、当初の測量が不十分なまま、売買で分筆が繰り返され、最終的に枝番1の土地の面積と登記簿上の面積がずれたものでした。市内の地籍調査はようやく調整区域が終わり、今後、平須・笠原地区で実施されますが、中心市街地は全く未着手です。今後、地籍調査が進めば、過大請求が数多く見つかると予想されることから、市は、地籍調査後ただちに税額を直すと同時に、過去の分も返還することを求めます。
2番目のケースは、別の茨城町の方からの相談で、この方は小規模住宅用地の特例で一般評価額の6分の1の課税でよいのに、町のミスで非住宅用地とされ、6倍の固定資産税を20年間払い続け、約150万円も余計に払っていました。茨城町は10年前までしか返還しないとしたため半分しか戻らず「全額返すべきだ」と憤慨されていました。
水戸市でも同様のケースは相当あると考えられます。
全国的に過大請求があとを絶たないため、多くの自治体が返還条例を制定しています。
そこで第一に、水戸市は「固定資産税等補てん補助金交付要項」で対応しているとのことですが、運用状況について、どれくらい返還したケースがあるのか答弁願います。
第二に、過去どこまでさかのぼるかは自治体でバラバラですが、税に対する信頼確保のため、誤った課税の場合、10年以上前の分もすべて返還すべきですがいかがでしょうか。
第三に、資産割がある国保税は、固定資産税が過大な場合に返還が必要ですが、連携が十分取られておりません。龍ヶ崎市は要項で、固定資産税・都市計画税・国保税を一緒に返還できるようにしており、同様に改善すべきですが見解を伺います。
以上、明快な答弁を求め私の質問といたします。
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