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原子力問題の田中議員の質問と高橋市長の答弁(2012年9月議会)
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■田中議員■
日本共産党の田中真己です。ただいまから日本共産党水戸市議団を代表して、通告に従い代表質問を行います。(中略)
6.原子力行政について
(1)原発ゼロ・東海第2再稼働中止・廃炉の世論の高まりについて
次に、原子力問題について質問します。8月22日に政府が発表した「エネルギーに関する国民的議論」の結果で、パブリックコメントの意見の9割が脱原発、即原発ゼロが81%と圧倒的多数をしめました。
7月16日には大江健三郎さんや瀬戸内寂聴さん、坂本龍一さんらがよびかけた「さようなら原発10万人集会」が東京代々木公園で開かれ、共産党市議団も全員参加し、全国から17万人が集まり、世論の高まりと熱気を実感したところです。
県内では知事あてに東海第2原発廃炉を求める署名が合計23万人分提出され、7月末には運転差し止めを求める水戸地裁への提訴、毎週金曜日に日本原電茨城総合事務所がある開発公社ビル前で抗議行動が続けられ、先週私も参加してきました。
茨城大学地域総合研究所が今年7月、東海村と周辺自治体住民に行ったアンケート調査でも、東海第2原発は「停止したまま廃炉」「運転再開すべきでない」が87%で昨年より大幅に増えています。
このように、原発ゼロ・東海第2原発の再稼働中止・廃炉を求める世論が大きく高まっていることについて、市長はどのように考えているか伺います。記録的な猛暑でも原発は必要ないことが証明されました。
東海村の村上村長をはじめ、県内5人の首長も原発からの撤退を表明しています。市長がはっきり原発ゼロ、東海第2廃炉を表明することを求めますがいかがでしょうか。
(2)日本原電のストレステストについて
日本原電は8月31日、東海第2原発の安全評価、いわゆるストレステストを原子力保安院に提出し、想定の1.73倍の揺れにも、15メートルの津波にも原子炉が耐えられるとして、新聞広告を織り込みました。
現状6.1メートルの防潮堤だけで、なぜ15メートルの津波に耐えられるのか。東海第2原発の半径30キロ圏内の、高萩市沿岸から日立市沖のF1断層と、北茨城市の車断層の2つの活断層が連動すれば長さ40キロの断層となり、大規模地震で原発に重大な影響が出ると、原子力保安院でさえ指摘しています。原発の沖合4キロには別のF2断層もあります。
これらの予測も対策もたてず、安全だと宣伝し再稼働手続きを進める日本原電は反省のかけらもありません。市長は「2重3重の安全対策が前提」と繰り返してきましたが、ストレステストで十分と考えるのか伺います。
(3)日本原電との協定問題について
また、再稼働などについての意見表明など、立地自治体に加え水戸市を含む周辺市町村の権限拡大を求めた協定見直しについて、日本原電の回答はどうなっているのか、示して頂きたいと思います。
■高橋市長■
エネルギー政策のあり方について
次に,原子力行政に関する御質問にお答えいたします。
私は,今後のエネルギー政策のあり方については,国民の生活や安全性をはじめ,経済成長戦略,地球環境問題等を総合的に勘案し,原子力発電についても,福島第一原子力発電所の事故の検証をしっかりと行い,現実性のある原子力災害対策指針とあわせ,国が責任を持って,しっかりと判断をしていくべきものと考えております。
その中で,未来ある子どもたちのためにも,将来に向けて安定的なエネルギーを確保するためにも,再生可能エネルギーのさらなる活用について,検討を行い,速やかに,実効性あるエネルギー政策の方針を示すとともに,国民に対し十分な説明責任を果たしていただきたいと考えております。
東海第2原発のストレステスト、再稼働について
次に,東海第2原発のストレステストについてでありますが,日本原子力発電において,原子力安全・保安院からの実施の指示に基づき,評価結果を提出したものであり,今後,新たに発足する原子力規制委員会等において内容が検討されるものでありますので,直ちに東海第2発電所の再稼動につながるものではないと認識しております。
東海第2原発につきましては,本市をはじめとする周辺住民を対象とした現実的な避難計画の策定など,大きな課題も残されており,市民の安全で安心な暮らしを守っていくという立場からは,厳しい判断をしていかなければならないものと考えております。
私は,原子力規制委員会におきまして,今回の地震・津波の影響をはじめ,施設の経過年数,施設周辺の居住者の避難計画の現実性などを総合的に判断し,まずは,国において,東海第2原発のあり方について,明確な方針を示すべきであると考えております。
その国の方針や,今後,国において策定される原子力災害対策指針の動向,さらには,東海第2原発の安全対策等を踏まえ,私は,市長として責任ある判断を下してまいりたいと考えております。
日本原電との協定見直しについて
次に,日本原電との協定見直しについてでありますが,県央首長懇話会におきましては,7月4日に,日本原電に対し,東海第2発電所周辺地域の安全確保に関する要求を申入れたところであります。現在,日本原電におきましては,回答の内容の検討中ということでありますが,引き続き構成市町村と連携し,速やかな回答を求めるとともに,要求の申入れの実現に向けまして,日本原電との協議を進めてまいります。
(4)子どもの健康調査の実施について
■田中議員■
福島原発事故を受け、子どもの健康調査の実施を求める声が高まっています。牛久市では4歳から中学3年生まで無料でホールボディカウンター検査を行い、甲状腺エコー検査は、龍ヶ崎市が1件3000円を補助、東海村では1歳から中学3年生まで無料で実施するとしています。
水戸市に1時間当たり3.64マイクロシーベルトの高濃度の放射能が降り注ぎ雨も降った昨年3月15日、情報が知らされず、多くの市民が水を汲んだりガレキを片付けたりと、屋外で活動していました。
あの時、わが子にどれだけ放射性ヨウ素を被ばくさせてしまったのか、これが小さな子を持つお母さん方の心配です。水戸市も補助を実施し、検査が受けられるようにすることを求めます。
■高橋市長■
子どもの健康調査について
次に,子どもの健康調査の実施についてお答えいたします。
原発事故に伴う子どもの甲状腺検査の必要性については,専門家の間でも意見が分かれているところでございます。
このため,本市といたしましても,子どもの甲状腺検査については,今後の市民ニーズを踏まえたうえで,放射線被曝に関する新しい知見や国,県の考え方などを参考に,中長期的視野に立って検討してまいりたいと考えております。
なお,原発事故に伴う保護者の健康不安の軽減策につきましては,本市の健康相談窓口で,放射線の健康への影響や日常生活面での注意点について,適切な情報提供を行うなど個別の対応をとっているところであり,今後も継続して行ってまいります。
(5)東京電力の賠償問題について
■田中議員■
8月30日、北茨城市が求めた自主避難者に対する損害賠償について東京電力は賠償できないと回答しました。東電は家庭の電気料金を9月1日から8.46%も値上げしながら、賠償はきわめて消極的です。
4月25日、水戸市が請求した昨年度分の放射線対策など約5000万円の賠償はどうなったのか。今年度分を上乗せ請求しないのか。9月から値上げされた電気料金で契約したとのことですが、賠償もうけぬまま年間1億6000万円もの値上げをなぜ認めたのか、答弁願います。
■高橋市長■
東京電力の賠償問題と電気料金値上げについて
次に,東京電力の賠償問題に関する御質問にお答えいたします。
本市におきましても,福島第一原子力発電所の事故に起因する放射線対策として,放射線測定器の購入費や放射線測定・検査に要する費用などが発生しており,平成24年3月31日までに放射線対策等に要した費用及び公設地方卸売市場における売上高減少に伴う市場使用料の減収額につきまして,本年,4月25日に東京電力に対し,損害賠償請求を行ったところであります。
また,私は,行政ばかりではなく,被害を受けている個人,企業,団体などに対しましても,東京電力は,今回の福島第一原子力発電所の事故の責任を重く受けとめ,誠意を持って対応すべきとの思いから,これまでも,速やかな賠償を行うことを求めてまいりました。
東京電力からは,本市の要請に対し,5月30日付で上水道事業や農業集落排水事業等に係る損害のうち,平成23年11月末までに確定した被害額につきましては,賠償手続きを開始しており,それ以外の損害賠償につきましても,賠償の対象範囲や手続き等の検討を鋭意進めているとの回答を頂いております。
本市におきましては,水道事業における放射線対策に要した費用について,すでに賠償の支払いがなされており,それ以外の費用につきましても,方針等が示され次第,当然,賠償がなされるものと認識しております。
また,北茨城市の賠償に関するご質問をいただいたところでありますが,内容の詳細について把握しておりませんので,答弁は差し控えさせていただきます。
次に,東京電力の電気料金に関するご質問についてでありますが,本市におきましては,これまでも,さらなる経費節減等による電気料金引下げを強く求めてまいりました。
東京電力においては,値上げの背景の市民への説明とともに,料金原価の抜本的見直しに取り組む姿勢を示し,最終的に,当初予定した以上の規制部門及び自由化部門の値上げ幅の引下げを行うこととした新たな経営合理化策による新料金が国において認可されたところであります。
これらのことから,本市におきましては,電気料金の値上げについて,市民,事業者等が納得できる詳細かつ丁寧な説明を行うこと,また,さらなる経営合理化に取り組み,電気料金の引下げに努めることなどの申し入れを行ったうえで,留保していた電気料金について,9月1日から契約更新することとしたものであります。
<再質問>(要旨)
■田中議員■
それぞれ答弁いただきましたが再質問させていただきます。(中略)
第2は、原発ゼロと東海第2原発廃炉の問題です。
7月30日、原発輸出の大企業ジェネラルエレクトリック社の最高責任者(ジェフ・イメルトCEO)がこう言っています。「原発は経済的に正当化するのが非常に難しい。再生可能エネルギーの競争力があがり今後有望視されている。太陽光パネル価格が大幅に低下し競争力が増している」と報道されました。(フィナンシャルタイムズ紙)
日本の技術力をもってすれば世界の廃炉市場で優位に立つことも、再生可能エネルギーでコストを削減し、普及拡大することも可能だと指摘されています。(大和総研の河口真理子・主席研究員のコラム「成長戦略としての脱原発」8月27日)
危険な原発と背中合わせで電気をつくるよりも、再生可能エネルギーに挑戦したほうがよほど明るい未来につながるのではないでしょうか。
市長は「東海第2原発について厳しく責任ある判断をしたい」と答えましたが、廃炉こそもっとも適切な判断ではないでしょうか。再度答弁を求めます。
■高橋市長■
田中議員の再度の質問にお答えしたいと思います。(中略)
東海第2原発につきましては、やはり原子力発電所は安全性が絶対的に確保されるということが大前提であり、そのほかUPZ等をふまえて、避難計画が現実的なものとしてしっかり私たちに示されるということが前提であるというふうに思っております。そういったことをふまえて、厳しく、適切に、判断をしていきたいと思っております。
【参照:原子力問題特集の日本共産党水戸市議団ニュース N0.525】 |
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